大館曲わっぱの歴史
木こりが作った器が
曲げわっぱの起源
大館曲げわっぱは、木こりが木目形状の均質な杉柾(すぎまさ)で曲物の器を作ったことが始まりです。生産が盛んになったのは、藩政時代に大館城の城主となった佐竹西家(さたけにしいえ)が、領内の豊富な秋田杉に着目し、困窮する下級武士の内職として推奨したためです。江戸時代末期から近代にかけて職人たちが連綿と技法を受け継いできましたが、プラスチック製品の普及や生活様式の変化等により、需要は低迷。しかし、現在では本物志向の風潮も相まって、本来の「白木」の大館の曲げわっぱが多くの人々から愛されています。秋田杉の良さである吸湿性や殺菌効果も評価されています。
大館曲わっぱの魅力
美しい木目と木の香り。
優れた吸湿性と殺菌効果も
淡い黄色の美しい木目と軽さ、そして香りが特徴の曲げわっぱ。まるで秋田杉が呼吸するかのように余分な水分を吸収してくれるので、たとえお弁当が冷めてもお米が硬くならず、外出先でもおいしいご飯を味わうことができます。また、食べ物がいたみやすい夏場でも杉の木には殺菌効果があるので安心。一方で、作品のバリエーションも豊富で、これまで長年作られてきたお弁当箱のような定番の品から、サラダボールやジョッキまで、現代の生活にマッチした多彩な品も作られています。シンプルだからこそ飽きることなく、愛着をもって長年使い続けることができる品でもあります。
大館曲わっぱができるまで
全工程で最大の難所は、
小刀での底板の溝つくり
天然秋田杉を製材などにより薄く剥ぎ、一晩水に浸したあと、熱湯につけます。板に柔軟性が出て、折れにくくなったところを取り上げ、コロ(道具)という丸太に板を巻き込むようにして曲げ、重ね合わせた部分を仮止めし、およそ2昼夜のあいだ、自然乾燥させます。乾燥後、接ぎ手部を膠(にかわ/動物等のコラーゲンを濃縮・冷却し凝固させたもの)などの接着剤で接着した後、とじ穴を開け、この穴をなめした山桜の皮(樺)で接合部を縫いとめます。次に、小刀で底板の入る溝を作ります。全工程で最も根気の要る作業です。蓋板または底板を入れ込み、接着して仕上げます。
主な産地・拠点 | 秋田県 |
このワザの職業 | 曲物師 |
ここでワザを発揮 | 櫃(ひつ) 水差し 盆 すし鉢 弁当箱 菓子器 小物入れ コーヒーカップ ビールジョッキ |
もっと知りたい | 大館曲わっぱ協同組合 |