おすすめの催し vol.2
和しごとなりきり道場 2013/10/16

日本の伝統的な仕事を子どもたちが体験!
「和しごとなりきり道場」人気の秘密。

老舗料亭で、
長唄奏者など和の仕事を体験。

 真剣な表情で三味線、鼓を演奏する子どもたち。この写真は、2013年の3月に開催された「和しごとなりきり道場・第三弾」の風景です。参加した子どもたちは、三味線や鼓を手にするのは初めて。畳にきちんと正座して心を合わせ合奏する様は、見ている大人たちに感動を与えます。「和しごとなりきり道場」は、“夢★らくざプロジェクト”が主催する、子ども向けの職業体験イベント。これまで4回にわたり開催され、日本の伝統的な職業23種類を延べ548人の子どもたちが体験しました。特徴的なのは、開催される場所が最近では大人ですらなかなか触れる機会のない「和」な空間であること。写真の第三弾では、幕末より150年続く神奈川宿の老舗料亭が“道場”となり、「長唄奏者(三味線&囃子)」「囲碁棋士」「茶道家」「鎌倉彫職人」「香道家」「板前」「仲居」「女将」の体験プログラムが組まれました。

2013年3月26日(火)に、料亭で開催された「和しごとなりきり道場・第三弾」の様子。小学生以上を対象とした「長唄奏者(三味線&囃子)」のプログラムで、三味線と囃子で、代表的な長唄「二人椀久」を合奏。

「和しごとなりきり道場」プログラム。

一度の体験で、
子どもたちは何を学ぶのか。

 毎回、予約を開始すると人気の職業はすぐに満員になってしまうという「和しごとなりきり道場」。一度体験したあと、二回目、三回目と繰り返し申し込むリピーターも多いそうです。その人気の秘密が伝わってくる、参加した父兄の感想を一つご紹介しましょう。

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●はるさん(7歳/女の子)のお母様
横浜の老舗料亭での和しごとに参加しました。なりきり道場としては2回目の参加です。
7歳の長女は、不器用ながらも何事にも興味津々、積極的に取り組み楽しんでしまう性格です。今回もいくつか体験させていただきましたが、三味線だけは思うように進みませんでした。慣れない姿勢や指使いに次第に笑顔が消え、とうとう涙が、、、。長女にしては初めての反応です。私は笑いながら「無理しなくていいよ〜笑」と親元に戻しました。そして、みんなが練習の間見学し、最後の発表の時。なんと先生が「一緒にやるよ」と静かにおっしゃって、長女を元の場所へ連れていかれたのです。長女は少しだけ戸惑いましたが、がんばって最後まで演奏しました。演奏後の感想では自ら手をあげ、「最初は楽しそうだと思ったけど、やってみたら大変で、こんなに指が痛いと思わなかったです」と半べそをかきながら一生懸命発表しました。
いつも「楽しかった」という感想の娘ですが、少し違う感想。それを心から素直に言えていた様子に、ちょっと感動してしまいました。また、親の私以上に、このひとつの時間を大切に捉え、娘を上手に導いてくださった先生にも感謝いたしました。
おしごとなりきり道場では、普段できないことに取り組み、いろいろな体験をさせていただき、とても貴重な場だと思っています。また今回は特に、歴史を感じる素敵な佇まいで日本の文化を体験させていただき、女将さんの心に響くお話を聞かせていただき、親の私たちもとても良い時間を過ごさせていただきました。
またぜひ参加したいと思っています。
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大人顔負けのキリリとした表情。たった一度の体験でも、子どもたちは大きく成長していく。※写真はイメージです。

現役の仕事人が先生。
仕事の意味を考え体験する構成。

 一度の体験で、たくさんのことを学び成長していく子どもたち。それを可能にしているのが、「和しごとなりきり道場」ならではのこだわりです。まず第一は、先生になってくれるのが、現役、もしくはかつて第一線で活躍していた本物の仕事人。高い技術を持っているのはもちろん、修行の苦しさ、仕事の楽しさを自分の言葉で伝えることのできる先生は子どもたちの好奇心を、しっかりと受け止め導いてくれます。第二には、その先生自ら「これはどんな仕事か」「何の役に立っているのか」をレクチャーし、子どもに仕事への視点を与えた上で、実際に体験し発表するという構成をとっている点。ただ仕事の型をなぞるのではなく、子どもなりに「この仕事の意味」「誰のためにする仕事なのか」などを考えながら取り組むことが、その仕事への理解を深め、体験したことへの満足感を高めています。

「板前」の先生は、日本料理歴30年のベテラン。

第一弾、第二弾で組まれた「日本画家」では、青い目の日本画家、アラン・ウエスト氏が先生に。

「日本舞踊家」をはじめ、
4つの和しごとが新しく追加。

 これまで「和しごとなりきり道場」では、以下の19種類の仕事を紹介してきました。
「俳人」「印章彫刻家」「書家」「華道家」「茶道家」「絵馬師」「江戸刷毛職人」「日本画家」「仏師」「落語家」「将棋棋士」「能楽師」「長唄奏者」「囲碁棋士」「鎌倉彫職人」「香道家」「板前」「仲居」「女将」。
そして10月6日(日)に終わったばかりの第四弾では、「日本舞踊家」「江戸すだれ職人」「江戸手描提灯職人」「講談師」の3つの日本伝統の仕事が新しく加わりました。おそらく社会に出て何年も経った大人が聞いても、「今までこんな職業の人と知り合ったことはない」「こんな職業があったのか」と思うのではないでしょうか。

「和しごとなりきり道場」の第一弾、第二弾の会場は、台東区谷中にある大雄寺(だいおうじ)。普段訪れることのないお寺は、子どもにとっても父兄にとっても人気の場所。10月6日(日)もここが会場となった。

“夢★らくざプロジェクト”が、
目指していること。

 「和しごとなりきり道場」を企画運営しているのは、“夢★らくざプロジェクト”。「夢★らくざプロジェクト」では、「ネイリスト」や「編集者」、「介護士」などの職業49種類(2013年10月現在)を紹介する「おしごとなりきり道場」を2011年5月に初めて開催。「和しごとなりきり道場」は、芸能・芸術・工芸など日本の伝統的な仕事に限った体験イベントとして、同年10月に第一弾が開催されています。「おしごとなりきり道場」、そして「和しごとなりきり道場」への思いを、プロジェクト代表の髙田亮さんにうかがいました。
「世の中にはたくさんの職業がありますが、私たちがそれを知るのは社会に出た後。私自身、自分に合う仕事を求めて転職を重ねてきた経験があります。もっと早めにたくさんの職業があることを知っていれば、という思いが子どもたちに職業体験をしてもらうイベントの発想につながりました。子どもたちにプロの仕事に触れる楽しさを伝えるために、道具もプロが使うものを用意するなど工夫しています。『茶道家』を体験した未就学児童が家で家族にお茶を点てたり、『仲居』を体験した子どもが家のお手伝いをするなど、体験後の子どもたちには大きな変化があるようです。『長唄奏者』で三味線を体験した子が、指に水ぶくれをつくりながらも最後までやり通すなど、大変なことでも我慢してやりきることは自信や新たな意欲につながっています」。「子どもは『大きくなったら何になりたいか』と聞かれたら、当然テレビで知った職業や身近にある職業の中に答えを探します。自分の経験もふまえて、できるだけ、たくさんの職業を体験させてあげたいと思っています」。

“夢★らくざプロジェクト”の代表、髙田亮さん。法政大学経営大学院イノベーションマネジメント研究科を修了後、「おしごとなりきり道場」の着想を得て実現した。今後の抱負は、「世の中のすべての仕事を、すべての子どもに体験させたい」。

高田さんを中心に、学生ボランティアなどの協力でプロジェクトは運営されている。

参加したい!と思ったら、
ウェブサイトでご確認を!

 「おしごとなりきり道場」「和しごとなりきり道場」の最新情報は、以下のウェブサイトでご確認ください。メール会員になると、先行申込が可能になります。メールマガジンで定期的に情報も提供されるので、検討してみてはいかがでしょうか。

●公式ウェブサイト
http://www.rakuza.jpn.com/
● Facebook
https://www.facebook.com/yumerakuza

『香道家』を体験する子ども。何種類かの香木をたいて、同じ香りを当てる遊び「組香(くみこう)」を体験中。