仏像彫刻家

 どんな仕事?

深遠な仏像は、深い精神を持つ職人だからできる

仏像の素材は、銅といった金属類や石、土、紙、木など、様々です。特に日本では、豊富な森林に恵まれていたことから、木造仏が多くつくられてきました。この木(ほか石など)という原料を使って、仏像を彫るのが仏像彫刻家です。木造仏には、一本の木で主要な部分を彫る一木造りと、木をつなぎあわせてつくる寄木造りの2つの手法があります。どちらも、ノミによるわずかなズレで表情が変わってしまうので、繊細なワザが要求されます。でも、熟練したワザだけでは、仏像の荘厳なる雰囲気を出すことはできません。職人自身の豊かな人間性が反映されるため、心の精進をも同時に行っているのです。

 こんな人に目指してほしい

他人の喜び=自分の喜び。心と技を一緒に高める

仏像彫刻家は、仏像づくりを通じて、世の中に心の安らぎを与える大切な仕事です。そのため、「自分がつくったもので、喜んでほしい。日々を穏やかに過ごしてほしい」など、他の人の幸せが自分の幸せだと感じられる人に向いています。千年以上の伝統を秘めた仏像彫刻は、最初はオリジナルではなく、基本的な仏像一体を確実に仕上げる力が必要です。長い年月がかかり、大昔から残る仏像を本や図版で十分に勉強しなければなりません。もちろん、挫折することもあることでしょう。それを乗り越えてこそ、自分の技・心が高められ、仏像に深い表情を宿らせることができるのです。

 仏像彫刻家への道

仏具を約8割生産する京都には
職人や学校も多数

免許や資格は、特に必要ありません。一般的には、仏像彫刻家のもとへ弟子入りしたり、仏像製作を手がける会社へ入社することで第一歩が始まります。一人前の仏像彫刻家になるには、非常に長い修行が必要ですので、根気強く己を磨いてください。また、3000以上の寺院が集まり、全国の約8割の仏具を生産する京都では、仏像彫刻を学べる専門学校もありますので、本場に行くのも手です。

この職人がつくるモノ・コト 仏像
このワザに関わる資格 特にありません
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