蒔絵師

 どんな仕事?

金粉の美しさを導き、優雅な漆器を生みだす

多くの職人が携わる漆器製造で、最終工程にて漆で文様を描き、金粉・銀粉などを蒔(ま)くことで加飾するのが蒔絵師です。花鳥風月から幾何学的な文様まで、優雅な絵をつけることで、より洗練された漆器を生みだしています。蒔絵の主な技法は、平(ひら)蒔絵、研出(とぎだし)蒔絵、高(たか)蒔絵、肉合研出(ししあいとぎだし)蒔絵。漆を高く盛って立体感を表わしたり、炭で文様を研いで艶を出すなど、多彩な表現方法を用いて装飾します。金粉のひと粉ひと粉を巧みに操る繊細なワザと、文様を描く美的センスが問われる職人です。

 こんな人に目指してほしい

漆器に化粧をするような繊細な技巧が必要

漆器に上品な佇まいや豪華絢爛な雰囲気をつくりだす蒔絵は、まるで漆器に化粧を施しているよう。そのため、美しい素材に自分の手を加えることで、より人々を魅了する漆器をつくりたいと思う人に向いています。高度で華麗な蒔絵は、美術品としても高く評価され、綺麗な濃淡やぼかしなど、洗練された経験が重要になります。さらに、金粉を蒔いて磨く際、磨きすぎると金を傷めてしまうこともあり、繊細なワザが必要です。そんな蒔絵師が特に大切にする道具が、蒔絵筆。10本以上の筆を使い分けて、様々な絵を描きます。また、ひとかどの職人になるには、10年以上かかるといわれています。

 蒔絵師への道

漆器の産地でワザを習得。
一人前になるのに10年以上

芸術系の大学・専門学校で基本的な知識を学ぶことが可能です。また、漆器の生産地である石川県(輪島塗)、京都府(京漆器)、福島県(会津塗)などの漆器製造会社への就職や蒔絵師への弟子入りでワザを磨けます。

この職人がつくるモノ・コト 什器、装飾品、家具、茶道具、食器、椀、重箱、茶托、盆、人形
このワザに関わる資格 漆器製造技能士
こんな職業も見てみよう 研ぎ職人 沈金師 呂色(蝋色)師 ろくろ職人 木地師(漆器) 塗師