印伝職人

 どんな仕事?

鹿革を染め、漆で模様を生み、縫製

日本人の心の琴線にふれる繊細な伝統模様と、丈夫で軽い優れた機能性。そんな特徴をもつ「印伝」を、主に染色・裁断・柄付け・縫製仕上げの4つの工程で生み出すのが「印伝職人」の仕事です。中でも、漆をヘラで均等かつ少しのムラもなく塗り、模様を生む「柄付け」には、多くの経験で培った熟練のワザが不可欠。また、「裁断」では、原料となる鹿革は一頭から少量しかとれないため、革が余らないように計算しながら作業することも求められます。これらの行程は、分業の場合もありますが、こだわりをもって全行程を一人で仕上げる職人さんもいます。

 こんな人に目指してほしい

現代の暮らしに合うデザインを考える力

「伝統模様にどんな意味が込められているのか深く知りたい」「丈夫で長持ちする工芸品をつくりたい」という方におすすめ。伝統工芸品というと、骨董品のような品を思い浮かべる方も多いことでしょう。しかしながら、印伝は現代の感覚が取り入れられており、ハンドバッグやベルトなど、日常的に利用できる比較的カジュアルな品が多いのが特徴。そのため、どのような形状・色であれば、現代の暮らしにあうのかを考える力が欠かせません。また、印伝づくりの数ある工程の中でも難しい「柄付け」で扱う漆の特性を知ることで、現場での作業もある程度スムーズに進められることでしょう。

 印伝職人への道

産地を訪問し、印伝の
魅力を肌で感じる

特に必要な学歴や資格はありません。まずは、印伝の産地としても知られる甲州(山梨県)では、印伝の博物館などもあるので、本やWEBではもちろん、こうした施設を訪問し、印伝の魅力を肌で感じてみることをおすすめします。印伝職人になるには、印伝を製作している工房の門を叩き、印伝職人に弟子入りするのが一般的です。しかし、弟子入り後は約10年のあいだ修行が続くうえ、一人前に成るか成らないかは、己次第。そのため、弟子入りする際は、何事も成し遂げる覚悟が必要不可欠といえます。

この職人がつくるモノ・コト 革工芸
このワザに関わる資格 特にありません
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