石工

 どんな仕事?

石を削るという引き算の美学で、侘び寂びの心をつくる

石工は大別して、原石を切り出す石採工、石垣などを築く石積工、燈ろうなどに加工する石彫工の3つにわけられますが、現在では石彫工のことをさします。石彫工は、良質の花崗岩や凝灰質砂岩を素材にした石燈ろうといった石工品で、日本庭園の美を演出。侘び寂び(わびさび)の精神が息づく石燈ろうは、昼は自然と調和したぬくもりある存在に、夜は灯りをともす優しい姿にと表情が変化します。また、何百年前のものが現在に残るほど高い耐久性をもつため、つくる際には手抜きの許されない緊張感が。しかし、納得のいくものができれば、何世紀にもわたって、人の心に灯をともすことができるのです。そこに、石工の魅力が秘められています。

 こんな人に目指してほしい

後世にまで作品は残る。石との対話で先人を越す

石工品は何世紀も残るため、「自分がいなくなった後も、人々を癒しつづける作品をつくりたい」と思っている人に向いています。また、とにかく石が好き・ものづくりが好きという人にもぴったり。後世に伝わるのは、本当に良い石工品だけなので、責任をもってつくらなければなりません。また、彫る際に石の曲線、庭園・時間との調和、すべてを考える必要があります。お手本は師のほか、先人たちがつくった石工品。大昔の名工を越える石工芸ができてこそ、自分らしい作品を残すことができます。

 石工への道

愛知県と北海道に専門校。
技能認定でキャリアアップ

愛知県にある岡崎技術工学院の石材加工科、北海道の北海道石材技術学院など少数ですが専門の学校もあります。石材加工会社に入ったり、弟子になることで、第一歩を踏み出す道も。石工といっても、大型機械で加工する建築関係のものも含まれますので、会社を探す場合は伝統工芸品をつくる所か、建築関係かを見極める必要があります。

この職人がつくるモノ・コト 燈ろう、多重塔、鉢物、挽臼、層塔、彫刻物
このワザに関わる資格 石材施工技能士
こんな職業も見てみよう 水晶貴石彫刻工職人 象嵌師 石彫工