おすすめの施設 vol.1
PIGMENT 2017/7/1

顔料、膠、和紙、刷毛。
希少な画材が揃うラボ

ギャラリーのような空間に
本格派の品揃え

 職人さんを取材していると、「昔よりいい材料が手に入りづらくなった」「道具を作ってくれる職人も減っている」といったお話をよく耳にします。良い腕だけでなく、良い材料、良い道具が揃って成立する良い仕事。今回「おすすめの施設」として紹介するのは、伝統工芸の世界でもお馴染みの絵画材料や道具が本格的な品揃えで揃う伝統画材ラボ「PIGMENT(ピグモン)」です。
PIGMENTがあるのは、天王洲アイル駅から徒歩3分の場所。一昔前は倉庫街というイメージが強かった天王洲アイルですが、近年は運河のある景色を活かした再開発で、カフェやギャラリーのあるお洒落な街へと大きく変貌しています。その一画に佇むPIGMENTは、店舗の内装設計を建築家・隈研吾が手がけたとあり、ひときわ目を引きます。
 店舗に一歩入ると驚かされるのは、美しいディスプレー。例えば壁一面に並べられた硝子瓶に入っているのは、顔料(がんりょう)。その数、なんと4500色にも及ぶのだそうです。膠(にかわ)も硝子瓶の中で、美しい琥珀色を見せてくれています。一口に膠といっても牛、魚、鹿など由来は色々ですが、他店では手に入らないオリジナルの様々な種類の膠がPIGMENTでは揃います。和紙も明治期より日本画で用いられている岩野製紙の「雲肌麻紙」をはじめ、新潟の雪晒しと呼ばれる特殊製法で作られた「小国和紙」、PIGMENTオリジナルの「楮×竹混合紙」など珍しいところが揃っています。専門知識が豊富なスタッフが対応するので、画材の特性から使用法まできめ細やかなアドバイスが受けられるところも安心。美術大教授や画材メーカーによるワークショップ「T-ART ACADEMY」も随時開催されるので、プロユーザーだけでなく趣味で創作をしたいと考える方にもおすすめの場所です。

顔料は4500色以上をラインナップ。

職人が1ロットずつ手作りした膠は、量り売りで販売。
絵画用の筆のほか、表具用の刷毛も揃う。

奈良の老舗・墨運堂の墨。昭和47年に販売開始した「百選墨」というシリーズは、ほぼ一点物という希少なもの。

運営は寺田倉庫。
ユニークなサービスも

 PIGMENTを運営するのは、天王洲アイルを中心に保存・保管業を展開する寺田倉庫です。寺田倉庫は美術品やワイン、メディアのような専門的な商品における保存・保管技術を有しており近年、文化芸術分野にも事業領域を拡大。古今東西を問わず、良質な画材とそこから生み出される技や表現を独自のアプローチで研究し、後世に伝えるためのクリエイティブ機関として、2015年の7月にオープンしました。また、寺田倉庫では絵画や立体作品などの美術品を保管するサービスをはじめ、アートに関わる方にとって魅力的でユニークなサービスを展開していますので、ぜひ一度、寺田倉庫の公式サイト(http://www.terrada.co.jp/)をチェックしてみてください。

PIGMENT(ピグモン)/東京都品川区東品川2-5-5 寺田倉庫Harbor One ビル1F ※営業時間・定休日などの詳しい情報は、公式サイトでご確認ください。商品の購入は、Oneline Shopからも可能です。http://pigment.tokyo/