手描き職人

 どんな仕事?

手で図柄を描き、染め上げることで、着物に華をそえる

着物などの生地に一筆一筆、絵・模様を描いて染め上げる職人です。四季折々の風景をはじめ、美しい植物、素朴で力強い模様といった図柄を描きます。特に有名なのが、江戸時代に誕生した手描き友禅(ゆうぜん)。花鳥山水といった自然を、多彩な色使いで仕上げ、着物に優雅で上品な雰囲気を与えます。染色の工程は10以上。20本以上の大小の筆を中心に、様々な道具を使い分けることで繊細な図柄を表現するのです。生産地や職人よって、すべての工程に携わる一貫体制と分担する分業体制があり、伝統の技法を現在に継承しています。

 こんな人に目指してほしい

ひと筆に真心を込めて。伝統と人を思って描く

手描き職人はいわば、生地をキャンパスにして絵画を描くようなもの。着物に魅力を感じている人はもちろん、絵を描くことが大好きな人におすすめします。図案から染色まですべてを担う一貫体制も、分業体制で行う場合もあります。どちらも大切なのがイマジネーションです。何百年も続く伝統技法を思い、仕上げてくれる他の職人を思い、着物を着る人を思うこと。一筆にそれぞれの思いをたくして、洗練された図柄を描かなければなりません。花びら一枚一枚や葉を丹念に描くなど、大量生産・大量消費の時代の中で忘れられたものづくりの心を、手描き職人は教えてくれます。

 手描き職人への道

各地に広がる生産地で習得。
染色技法を学ぶ専門学校も存在

特に学歴や資格は必要ありません。手描き職人への弟子入りや染物製作会社への就職でワザを習得できます。手描き友禅を学びたい人は、東京、京都、石川、愛知の生産地で手描き職人の見習いになることも可能。修行に10年以上かかるといわれており、根気が必要です。

この職人がつくるモノ・コト 着物地、羽織、帯、飾布、小物、コート
このワザに関わる資格 染色技能士
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