人形師

 どんな仕事?

産地で異なる技法。人形の衣装にもこだわりが

主に木(博多人形は粘土)を用いて、雛人形、五月人形などの日本人形をつくります。その製造方法は、頭師・髪付師・手足師と細かく分業化した京人形(京都府)や岩槻人形(埼玉県)、土ねりから始まる博多人形(福岡県)、ろくろを使う宮城伝統こけし(宮城県)と産地によって多種多様。数十以上の工程を経て、人形に命を吹き込みます。また、人形を彩る衣装も魅力のひとつ。岩槻人形の場合、西陣織といった豪華な織物を使用し、扇や尺などの人形に相応しい小道具をそなえ、人形を取り巻く環境を考えます。武者人形も、巧みに作られた甲や鎧を身に纏(まと)い、まるで芸術品のような佇まいです。

 こんな人に目指してほしい

姫・武者を今に。頭、胴、衣装など好みの工程を極める

以前から日本人形に興味を持っている人はもちろん、時代劇でしか見ることができないお姫さまや武者などの姿を、自分の手で表現したいという方におすすめです。本格的な技術で作る着物や甲冑を用いるので、人物が歴史を超えて現代によみがえったような感覚を味わえます。また、雛人形といった一般的な日本人形は、頭、胴体、手足、飾り物と分業でつくられているため、そろぞれを体験して自分の得意とする分野を探求できます。地域によっても材料・手法が違い、自分の好みに合わせて選ぶことが可能です。一方、人形作りには、もととなる「本物」の観察が欠かせません。だから、日頃から人間の表情、歌舞伎や能といった「本物」を見ておくのも大切になります。

 人形師への道

専門学校・教室でも学べる。
10年以上の修行で一人前に

人形の専門学校や人形教室などで基本を学ぶこともできます。本格的には、人形師への弟子入り、人形製造会社への就職で始まります。人形づくりでは、頭が彫れるようになるのに、最低10年はかかるといわれていますので、根気強さが必要です。その後は、自分の努力・気持ち次第で、独立の道も開けます。

この職人がつくるモノ・コト 雛人形、五月人形、浮世人形、市松人形、風俗人形、御所人形
このワザに関わる資格 特にありません
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