筆づくり職人

 どんな仕事?

「書」を通して、日本の文化を築く

日本人なら一度は手にしたことがある筆。古くから人々の生活に貢献をしてきた筆をつくるのがこの職業です。ひとくちに筆といっても、書道用や画筆などじつに多くの種類が存在します。筆づくりは、その用途に最適な毛を、色々な動物などから選毛することからはじまります。そして、およそ全12行程を経て、ようやく一本の筆が完成。その起源は古く、2千年以上も昔に中国ではじまったとされています。日本では平安時代の初期、弘法大師(空海)が入唐した際に技法を修得し、それを大和国(奈良)で伝授したのが、原点だといわれています。現在では伝統技術を応用し、日本の化粧筆は世界でも高いシェア率を誇ります。また、子どもの毛やペットの毛で作った記念筆や、アクセサリーと融合をさせた新しいジャンルの筆もつくられています。

 こんな人に目指してほしい

いい筆をつくりあげる。ささいな事にも妥協をしない

常に文化と芸術などの発展を支えてきた筆という存在。今も息づく伝統技術は、扱う原毛も生き物のモノなので一本一本が異なります。知識や確かな腕前がないと勤まらない、とても奥が深い職人ワザです。実際に使う人の気持ちになり、最高の筆をつくるという責任感と、惜しまない努力や探究心が必要です。書道はもちろん、日本の歴史や文化などに興味がある人にも向いているかもしれません。各工程ごとに職人がいて、ひとつの作業を修得するのにも10年はかかるといわれています。とても根気と努力が必要ですが、だからこそ自分の仕上げた世界にたったひとつの筆で、誰かが喜んでくれることは幸せに感じられるのだと思います。

 提灯づくり職人への道

各産地ごとの特徴を知ろう。
足を運び、学びたいワザを選ぶ

特に資格や免許は必要ありません。筆製作会社への就職や弟子入りで道が開けます。名産地の 奈良筆(奈良県)、 熊野筆(広島県)、 豊橋筆(愛知県)などの各組合事務所が、不定期で開催している催しなどにも積極的に参加してみましょう。見学できる製作会社もあるので、自分の足で現場を見ることをおすすめします。まずは情報収集をし、必要があれば問い合わせなどをしてきっかけをつくりましょう。

この職人がつくるモノ・コト 書道用筆、画筆、毛筆、化粧筆、面相筆
このワザに関わる資格 特にありません
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