鹿児島県 本場大島紬

 本場大島紬の歴史

日本でもっとも歴史ある織物
時を経て多彩な絣表現に

本場大島紬日本において古い起源をもつ大島紬。奄美における始まりは7世紀頃に遡るといわれています。インドでうまれたイカットという絣織り(かすりおり)がルーツとされ、イカットが、スマトラ、ジャワからスンダ列島一帯に広がりを見せた頃に、奄美大島にも伝わったという説があります。鹿児島県では、奈良以前から養蚕が盛んに行われ、手紡糸で紬が作られていました。古代植物染色の技法はそのころから伝えられています。人気が高まり、生産の増加が求められるようになった明治時代には、絣を織締する新技法が確立され、絣の正確さと生産能率の向上が実現。その後さらなる改良が加えられ、今日の自由で多彩な絣表現が可能となったのです。

 本場大島紬の魅力

神秘的な染織と繊細な絣模様。
近年では洋装分野においても脚光

本場大島紬神秘的な染織の美学と評されるまでの本場大島紬。1300年の歴史と文化に育まれ、古来より高級な絹織物として知られています。その魅力は一本一本丹念に合わされた繊細で鮮やかな絣模様と、シャリンバイと泥染めによる風格、しなやかで軽く、しわになりにくい扱いやすさといったところでしょうか。特に泥染めは、鉄分が豊富で粒子が丸く細やかな奄美大島でしかできない、と職人が語るほど。現在、大島紬は新しい色やデザインなどバリエーションも豊富になり気軽な外出着としてだけでなく、お茶会、成人式、結婚式といった場面でも着られるようになりました。またパリコレで大島紬婦人スーツが発表されるなど、洋装分野でも脚光をあびてきています。

 本場大島紬ができるまで

半年から一年かけて作る
点と線の精緻な結晶

本場大島紬ができるまで本場大島紬が完成するまでには、数々の工程を経て半年から一年もの年月がかかります。「図案」では伝統を重んじながらも時代に合った感性で製品企画に沿った表現が求められます。図案を読み、横糸を打ち込む織機のオサ打ちの力加減、天候の変化で伸縮する絹糸の引っ張り加減を調節して糸一本一本を染め付ける「絣締」は大島紬でもっとも細心の注意を要するといわれています。次は「染め」。テーチと呼ばれる木の幹をチップにして、抽出した液で糸を染め、泥で染処理を数回繰り返すことで、初めて大島紬独特の渋みのある黒色に染め上がるのです。また藍染めもあります。そして大島紬の特徴ともいえる正確な絣合わせの「製織」が行われます。なお、本場大島紬は宮崎県と鹿児島県の伝統工芸品に指定されていますが、識別をはかるために宮崎県のものは「本場奄美大島紬」、鹿児島県のものは「本場大島紬」とよばれています。

主な産地・拠点 宮崎県 鹿児島県
このワザの職業 織物職人
ここでワザを発揮 着物地
もっと知りたい 本場奄美大島紬協同組合
本場大島紬織物協同組合