どんな仕事?
二通りの技法で、南部鉄器の「つる」を製作
「南部鉄器は、つる(取手)によって全体のバランスの善し悪しが決まる」。そう言われるほど南部鉄器にとって重要な「つる」をつくるのが「つる鍛冶屋」の仕事です。つるづくりには、主に二通りあります。一つは、鉄の丸棒を曲げてつくる量産品用の「むくつる」。もう一つは、一枚の鉄板を鍛造技法で丸め、中を空洞にする高級品用の「袋つる」です。この「袋つる」は、事前に鉄板に微細な穴を空ける「虫食(むしくい)」を施すことで、鉄瓶を火にかけた際もつる内の熱を外に逃がし、素手で持てるようにします。
こんな人に目指してほしい
熱さに負けない集中力が不可欠
「つる」づくりでは、原料となる鉄の板や丸棒を加工するため、火にかけては、金槌などで叩き形を整えていきます。そのため、熱さに負けることなく繊細な作業を繰り返すことのできる集中力が求められます。また、金槌で形を整えていくことから、自らの手で作品と呼べるものを製作したい方にはピッタリの仕事といえます。事実、「つる鍛冶屋」の中には、「つる」だけでなく、鉄瓶をのせる用の「五徳」など、さまざまな作品を製作する方もいます。
つる鍛冶屋への道
工房で「つる鍛冶屋」の仕事を肌で感じよう
現在、南部鉄器の本体をつくる「釜師」の減少に伴い、「つる鍛冶屋」も減少。南部鉄器の主な生産地である岩手県盛岡市や奥州市水沢区には数えるほどしか工房が現存しませんが、「つる鍛冶屋」を目指すのであれば、そうした工房を訪れ、仕事内容を目で見て肌で触れることが大切になります。また、南部鉄器そのものの成り立ちを知ることができる施設なども上記の主要産地にはありますので、訪問してみると良いでしょう。
この職人がつくるモノ・コト | つる |
このワザに関わる資格 | 特にありません |
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