東京額縁の歴史
江戸の職人の感性と技を引き継ぎ、
日本ならではの額縁製作が始まる
日本で額縁が本格的に作られるようになるのは、明治時代に入り洋画(油絵)の技術が流入されてから。その当時は画家の指示により、指物師が木枠をつくり、仏師(仏像彫刻師)が彫刻し、塗師が漆塗り仕上げをしていました。専門の額縁師としては1892(明治25)年に、当時塗師だった長尾健吉がフランス帰りの洋画家・山本芳翠の勧めで、芝愛宕町に小工場を建てたのが最初だと言われています。外国産の額縁が主にモールディングという既存の材料を使うのに対して、東京額縁は依頼者の要望に応じてフルオーダーで製作。外縁の留め接ぎを「クサビ」「千切り」で補強するなど、強度や美しさを作り出すために伝統の技が駆使されているのも特徴です。東京額縁は、1982年に東京都の伝統工芸品に指定されています。
東京額縁の魅力
作品の価値を何倍にも高める仕事。
近年では新たなニーズの開拓も進む
額縁の業界では、絵画などを額に入れることを「額装」といいます。主役の絵画に対して、額は脇役とも言えますが、額がどのように仕上げられるかで、絵画の持つ魅力を何倍にもする力があります。額縁師の醍醐味も、そこに極まると言えるでしょう。また近年では、絵画を額装するにとどまらず、額がそこにある風景を切り取る機能に着目し、額のみを製品化するなどの試みも広がっています。
東京額縁ができるまで
製作方針に基づき板材の加工、組み立て、
箔押しや古美仕上げなどを行い完成させる
額縁製作の工程は、大きく「木工」「塗り」「纏め(まとめ)」の3工程に分けられます。絵画の作家らと打ち合わせをしながら製作方針を立て、仕上げたものを最終的に納品するのが「纏め」の仕事。「木工」は、板材を木取りし加工、組み立てる工程。「塗り」は漆を塗ったり、金箔、銀箔などの箔を押したりして加飾する工程です。洋画の額装によく見られる荘厳な飾型は、木型に固料を入れて図案を押しとり乾燥させたものを木枠に固着させて作ったものです。飾型には、箔を押し、古美仕上げなどを施して仕上げます。
主な産地・拠点 | 東京都(台東区、豊島区、荒川区ほか) |
このワザの職業 | 額縁師 |
ここでワザを発揮 | 絵画などの額装、ステーショナリー、キッチン雑貨、アクセサリー |
もっと知りたい | 東京額縁|東京伝統工芸士会 |