どんな仕事?
硯に相応しい石を採石できるかどうかが勝負
習字で墨をする際に用いる硯をつくるのが「硯職人」。硯は「石を見る」と書きますが、それだけに石の性質を見極められるかどうかが肝心。美しい石肌であること、吸水率が低いことなど、様々な基準を満たす石を見つけなくてはならないからです。こうした基準のもと採石した石は貴重なため、採石した際の石の自然な形状を個性として活かす職人さんもいます。なお、採石後から硯づくりを始める分業制の産地もあります。採石後は、縁をつくる「縁立て」、墨堂(墨をする所)と海(すった墨が溜まる所)を大きなノミで彫る「荒削り」にくわえ、小さなノミで彫る「仕上げ彫り」。さらに、サンドペーパーなどで細部に至るまで磨き、美しい丸みを創出し、最後に艶だしのため漆を塗ります。これらの作業に用いる道具づくりも硯職人の大切な仕事です。
こんな人に目指してほしい
後世に残る作品を創りたい方におすすめ
「良い硯は、幾世代にわたって使える」とされているので、今だけではなく後世に残る作品をつくりたいという方に相応しい仕事です。ただ、こうした作品と評されるレベルの硯を生み出すまでになるには、並々ならぬ努力が不可欠です。硯に相応しい石の見極め・採石や、鏨(たがね)で装飾を施す作業など、硯職人の仕事の多くに派手さはありませんが、とても繊細な作業です。一方で、鏨で墨堂や海を削り出す作業は、冬場でも大粒の汗をかくほど体力が求められます。
提灯づくり職人への道
まずは硯づくりが盛んな土地で
見学・体験してみよう
硯職人になるのに必要な資格は特にありません。まずは、硯の産地の工房や展示場などで職人のワザに触れたうえで弟子入りすることをおすすめします。また、硯の主な産地以外でもワザの継承を目的としながらも初心者も気軽に楽しめる「硯づくり体験教室」などのイベントが開催されているので、そうした機会を活かして参加してみると良いでしょう。修行を経て、一人前になると一日十個もの硯をつくれるまでになります。
この職人がつくるモノ・コト | 硯 |
このワザに関わる資格 | 特にありません |
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