富山県 庄川挽物木地

 庄川挽物木地の歴史

加賀藩の流木事業をきっかけに
木地づくりが発展

庄川挽物木地16世紀後半、加賀藩が飛騨、五箇山(ごかやま)の檜(ひのき)や槁(けやき)を運ぶために、庄川(岐阜県飛騨山脈を水源に富山湾へ流れる川)を利用しました。運搬された流木は、庄川町の貯木場に集積。江戸時代後期に入ると、この豊富な木材を活かした木地(漆器づくりの工程で漆を塗る前の器物)生産が営まれるようになりました。中でも発達したのが、ろくろ機を用いて木材を椀(わん)や盆などに加工する挽物。これが、庄川挽物木地の始まりです。昭和には、全国に出荷するほどの生産量になり、現在に至ります。

 庄川挽物木地の魅力

木のやさしい肌触りと
オンリーワンの木目の面白さ

庄川挽物木地木地の魅力は、何といっても天然の木の温もり。縦横に走る年輪の形など、この世にひとつしかない表情には、木目独特の風合いが息づいています。それが漆器として完成されることで、より深い印象を生みだすのです。漆器の材料に使用される庄川挽物木地の原料は、主に栃(とち)。漆との相性が良く、変形しにくいといわれています。漆器の材料のほかにも、磨きをかけた白木地(しらきじ)製品を生産。主に堅くて高級感漂う槁(けやき)が用いられ、時ととも色と艶が変化する様子を味わうことができます。

 庄川挽物木地ができるまで

木と対話してろくろを挽く。
木目、堅さ、模様を考え生みだす

庄川挽物木地ができるまで工程は「ろくろ機を使って材木を木地にする」と簡単ですが、木の特質を見極めて挽くワザは10年以上かかるといわれています。ここでは、白木地製品の工程を紹介します。まず、漆器に合わせて原木を選定。素材として、主に重量感ある槁と漆との相性が良い栃が使われます。製材、板づみ、木取りを経て、ろくろを使って削り出す荒挽きを行います。そして、乾燥後、仕上げ。最後に白木地に生漆を塗り重ね、木目を美しく仕上げると完成です。

主な産地・拠点 富山県
このワザの職業 木地師(漆器) ろくろ職人
ここでワザを発揮 茶盆、茶托、菓子器、椀、茶櫃、茶筒、銘々皿、盛鉢
もっと知りたい 庄川木工協同組合
高岡地域地場産業センター