長野県 信州打刃物

 信州打刃物の歴史

起源は戦国期に伝わった鍛冶技術
最盛期には年間約80万枚を生産

信州打刃物戦国時代の川中島合戦に従事した刀匠(とうしょう)から、里の人々が鍛冶の技術を習得したのが、信州打刃物の起源と伝えられています。その後の19世紀前半には、草刈鎌作りを専門にしていた職人が信州鎌の特徴である「芝付け」「つり」の構造を考案。同時期には、別の職人が両刃鎌を片刃の薄刃物に改良したそうで、この二つの鎌が現在の信州鎌の原型となっています。その後、雪深いため、家畜の飼料や作物の肥料となる資源草を刈ることのできる期間がとても短い信州では、必然的に作業能率の良い刃物が求められ、切れ味の良い刃物づくりの技術が発達していきました。さらに、最盛期の明治末期には、長い冬の副業として鎌鍛冶業が栄えた長野県信濃町古間(ふるま)や柏原で年間約80万枚の鎌が生産されるほど、全国各地へ流通していきました。

 信州打刃物の魅力

強靱で、切れ味が落ちない
使い勝手の良い片刃の薄刃

信州打刃物一本一本丁寧かつ力強く、手作業で打ちのばすことで生まれる強靱さが特徴。また、その強靱さゆえ、いつまでも切れ味が落ちないことも魅力です。鎌は、片刃の薄刃が特徴で、刈り取った草を手元に寄せられる「芝付け」加工や、刃面を内側に湾曲させる「つり」加工などの独特の工夫が施されており、使い勝手の良さにおいても各方面から高い評価を得ています。信州打刃物発祥の地である信州と言えば、そば所としても有名ですが、やはりこうした土地柄もあり、そば切り包丁もつくられています。

 信州打刃物ができるまで

一人の職人が17もの工程を一貫
鋼を手鎚で叩き、強靱さを生む

信州打刃物ができるまで信州打刃物には包丁や鉈などがありますが、ここでは鎌づくりを紹介します。鎌づくりは、最終工程の柄を取り付ける「柄すげ」を除く、17工程を一貫して一人の職人が手掛けます。信州打刃物の特徴である強靱さは、鋼を炉で500度に加熱後、手鎚で叩き、表面をなめらかにしていく「小ならし」という工程によって生みます。また、780度ほどに加熱保持後、水槽に入れて急冷する「焼入れ」の工程によって鋼の堅牢性を高めます。鋼に適度の粘りを持たせることで、刃こぼれを防ぎ、切れ味を長持ちさせる「焼もどし」の工程も大切な工程の一つです。

主な産地・拠点 長野県
このワザの職業 鍛冶師
ここでワザを発揮 鎌 包丁
もっと知りたい 信州打刃物工業協同組合