塗師

 どんな仕事?

塗っては研ぎ、を繰り返し長く愛される器をつくる

塗師は漆器づくりの職人の中でも、椀や盆などの器の木地に漆を塗る、という役割を担う職人です。塗る工程は下地、中塗り、上塗りと段階があり、漆器産地によっては一人で行う場合、それぞれ分業して行う場合があります。何度も漆を塗っては研ぎ(磨き)、塗っては研ぎを繰り返し、強さを増していく下地塗り、表面の凹凸を無くし、なめらかな表面をつくりあげる中塗り、最終的にはハケ目も残さず美しく仕上げる上塗り。そうして長く愛着をもって使ってもらえる漆器ができあがっていきます。漆は扱いも難しく高い専門性が求められます。その日の気温や湿度によって、漆の乾き具合も変わりますし、チリやホコリは大敵です。それらに細心の注意を払いながら、繊細なワザを発揮するのが塗師です。

 こんな人に目指してほしい

常に向上心を持ち、着実に技術を磨いていく

塗っては研ぎ、を繰り返しながら、理想とする仕上がりを目指す粘り強さが必要です。常に積極的に師匠や先輩のワザを「盗む」という、向上心のある人が、職人として成長できる人と言えるでしょう。うまく「盗む」為にはどうすれば良いか、またそのための道具づくりも自ら行うため、創意工夫も重要な要素です。ひとつの目標にこだわって、じっくり取り組める人、少しずつでも、小さなことからでも着実に前進していける人、そしてモノをつくりあげることに喜びを感じられる人に、是非目指して欲しい仕事です。

 塗師への道

塗師屋に就職が基本。
研修所や学校もあり

古くは「塗師屋」と呼ばれた、現在の漆器製造会社に就職し、修行しながら一人前を目指すのが基本ですが、地域によっては研修所が設けられていたり、大学や専門学校、高校に漆芸を学ぶコースが設けられていますので、そういった学校で学んでから就職、あるいは独立した職人に弟子入りして腕を磨くのもいいでしょう。弟子入りして3~4年で一応、職人と認められる所もありますが、実際は一人前として独り立ちできるのは10年はかかると言われています。

この職人がつくるモノ・コト 什器、装飾品、家具、椀、鉢、皿、盆、重箱、茶托、茶道具、花器
このワザに関わる資格 漆器製造技能士
こんな職業も見てみよう 研ぎ職人 沈金師 蒔絵師 呂色(蝋色)師 ろくろ職人 木地師(漆器)