どんな仕事?
腐りやすく硬い「皮」を、腐りにくく柔らかな「革」へ
なめし工とは、硬く腐敗しやすい動物の皮を、薬品で柔らかさを出し、腐り難くする処理をするプロの事をいいます。また、単なる動物の皮膚だった「皮」から革製品をつくるのに必要な「革」に変える職人ともいえます。なめしには、型崩れしにくいうえ吸湿性等に優れた仕上がりになる植物由来のタンニンのほか、主に伸縮性や耐久性に優れた仕上がりになる塩基性硫酸クロム等の化学薬品を使用します。これらの薬品は、皮の種類や用途によって使い分け、それぞれの特質を生かしたなめし作業を行います。特に、水に弱く染色にも向かない毛皮の場合には細心の注意が必要で、毛皮が持つ風合いを損なわないように作業します。
こんな人に目指してほしい
探求心とマイナス点を魅力に変える発想力
皮は天然の一点物のため、一枚一枚の色艶や仕上がり具合にはバラツキがでます。そういう意味では、いかに色のバラツキを抑えるか、またはそうしたバラツキを天然素材ならではの魅力として、どう引き立てていくのかなど、探求心や発想の転換力が必要になります。また、日本のなめし技術は、革の本場であるヨーロッパと肩を並べるほど非常に高い評価を得ている一方で、後継者不足が深刻です。そのため、ゆくゆくは習得した技術を後輩・弟子たちに受け継ぐことはもちろん、世に広める姿勢も大切になります。もし本気でなめし工を目指すならば、ヨーロッパに出掛け、異文化を吸収する中で己の腕を磨くのも良いでしょう。
なめし工への道
革製造会社が就職先。
皮の特徴や薬品の効果を知ろう
なめし工になるには、特に資格や免許は必要ありません。ほとんどの場合、革を製造する会社が職場となり、実際の仕事の中で先輩に多くの「コツ」を学びながら、技術を習得していきます。昔は、技術を目で盗むということが普通でしたが、今ではマンツーマンでベテラン職人さんが指導してくれる所も多いそうなので、一人前になるまでの期間は大分短縮できることでしょう。また、皮の性質・特徴はもちろん、なめしには化学薬品も使用するので、事前に薬品それぞれの効果や扱いの注意点など、多くを学んでおけば役立ちます。何より、勉強した成果は必ずや就職後も活きるはずです。
この職人がつくるモノ・コト | 衣服、革靴、鞄、野球用のグローブ、車やバイクのシート |
このワザに関わる資格 | 特にありません |
こんな職業も見てみよう | 印伝職人 |