どんな仕事?
食卓を飾る味噌をつくる。大豆の炊き加減で味が変化
味噌汁や田楽など、私たち日本人に馴染みの深い料理に使われる調味料「味噌」をつくるのが仕事です。味噌には、豆、米、麦を原料とした三種類があり、製造方法も異なります。豆味噌は、蒸した大豆に大麦または米を炒って粉末にし、香料を混ぜた「香煎(こうせん)」と種麹(たねこうじ)、食塩を混ぜ、発酵、熟成させるといった、いたってシンプルな工程でつくられますが、一つ一つの工程は奥深く、繊細な作業が続きます。たとえば、大きな釜で大豆を炊く工程は、炊き加減で仕上がりの風味が変わるといわれるほどです。また、味噌の味を左右する麹づくりでは、温度や湿度調整などのため、醗酵するまでほとんど寝ずの番をし、見守ります。こうした、作業を分担・兼務しつつ、職人同士が互いに協力しながら行います。
こんな人に目指してほしい
発酵・熟成が命の味噌づくり。経験にもとづく勘が重要
味噌づくりは、シンプルな工程だからこそ、ごまかしが利かず、一つ一つの工程が仕上がりに直結します。それゆえ、こまやかな気配りや、工夫が必要とされます。数ある工程の中でも味噌づくりの命ともいわれる「発酵・熟成」では、味噌を思惑通りの色・香り・味に仕上げられるようにするため、一際の繊細さや、かき混ぜるタイミングを見極める鋭い勘が求められます。この工程は、熟練の職人でも難しいといわれています。また、味噌は一人が一貫してつくるものではなく、協力してつくるものなので、コミュニケーション能力や協調性も欠かせません。
味噌職人への道
大手味噌メーカーまたは
手作りにこだわる蔵元に入社
味噌づくり職人になるには、特に資格は必要ありません。しかし、働く中で己の技術や知識を試したくなったら、味噌製造技能士資格に挑戦するのも良いでしょう。味噌づくりに携わる働き方には、二通りあります。一つは、ほんとんどの工程が機械化された大手味噌メーカーで、製造の管理をする働き方。もう一つは、機械をほとんど導入していない味噌の蔵元で、素材一つ一つと向き合いながら味噌をつくるという働き方です。前者であれば、醸造科のある大学への進学がおすすめ。また、後者であれば、蔵元はほぼ全国にあるので、実際に仕事ぶりを見学されると良いでしょう。蔵元で働く方の割合は、ほぼ男性が占めますが、近年では女性も徐々に増えてきています。
この職人がつくるモノ・コト | 豆みそ 米みそ 麦みそ |
このワザに関わる資格 | みそ製造技能士 |
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