京都府 京焼・清水焼

 京焼・清水焼の歴史

清水寺へ続く坂で始まった。
江戸時代には数多くの名工を輩出

京焼・清水焼京都の清水寺を訪れるときに見られる五条坂から続く茶碗坂。奈良時代、この地で僧行基が窯を築いて土器をつくったことが起源だといわれています。室町時代には、色絵陶器の誕生や茶陶の生産が伝わっています。江戸時代初期に、華麗な色絵陶器を制作した野々村仁清(にんせい)、筆使いや構図の巧みさが魅力の尾形乾山(けんざん)といった名工を生みだして、京焼・清水焼の名声は不動のものに。江戸時代末期には、奥田頴川(えいせん)が磁器の焼成に成功し、色絵陶器と磁器の2つの陶磁器が競い合いました。その後、加賀の九谷焼を再生した青木木米(もくべい)をはじめ、仁阿弥道八(にんあみどうはち)、永楽保全(ほぜん)などの名工を輩出。明治時代以降は、ヨーロッパの技法を採り入れた陶磁器を生産するなど、京焼・清水焼を発展させています。

 京焼・清水焼の魅力

100以上の窯元の個性が光る。
伝統や先進デザインなど多種多様

京焼・清水焼京焼・清水焼は、飲食器、花器、茶器など、豊富な種類があります。風合いも伝統を受け継いだ繊細で優雅な陶器や、斬新なデザインの磁器が共存しています。特に陶器は、貫入(かんにゅう)と呼ばれる焼成後の冷却時に生じた細かいヒビにより、神秘的で美しい表情を醸し出します。約1200年の時が育んだ京焼・清水焼は、作家の個性によって趣が異なるのも特徴のひとつ。現在、100以上の窯元があるといわれ、それぞれのワザを活かした名作を楽しむことができます。京焼・清水焼には、陶器や磁器、釉薬、色絵の模様など、陶磁器の魅力が凝縮しています。

 京焼・清水焼ができるまで

三度の焼成で、美しい色を出す。
見る楽しみと使いやすさを求めて

京焼・清水焼ができるまで陶土は信楽、磁土は天草などの土を原料にしています。まず、原料の土を、カオリンなどの粘土を加えて練ります。そして、ろくろ、ひねりなどで成形。乾燥後、金属製のヘラで削り、形を整えて再乾燥します。600~800℃で素焼きを行い、毛筆を使って下絵付けをします。さらに、光沢をだすために釉薬をかけ、1200~1300℃の高温度で焼上げます。その後、銅などの酸化物による金属顔料で彩色。上絵付けを終えたら、600~800℃の低火度で焼付けて完成です。

主な産地・拠点 京都府
このワザの職業 陶芸家 ろくろ成型職人
ここでワザを発揮 飲食器、花器、茶器、香道用品
もっと知りたい 京都伝統産業ふれあい館
京都山科・清水焼の郷 清水焼団地