京都府 京繍

 京繍の歴史

平安京に結集した職人集団が
宮廷の衣装の刺繍を担当

京繍8世紀の平安京遷都の際、宮廷の衣服の刺繍を専門にする「織部司(おりべのつかさ)」という部門が設けられたのが始まりだとされています。平安時代は十二単(じゅうにひとえ/貴族の正装)、鎌倉時代は武将の胴服(どうぶく)、室町時代は能衣装、安土・桃山時代は小袖(こそで)と、時代を越えて衣服を華やかに彩ってきました。明治時代以降は、衣服のほか、壁掛けや袱紗(ふくさ/物を包む絹布)にも刺繍が施されるなど、幅広い製品を生産。刺繍絵画といった芸術品もつくられ、京繍の価値は高まっています。

 京繍の魅力

着物、ストール、バッグを
より華やかに、より上品に

京繍絹糸、うるし糸、金銀糸などで施す京繍は、絹織物や麻織物に格調高い雰囲気を与えます。彩りあふれる色彩と糸の光沢が調和し、一層の華やかさを演出。まるで絵画のような刺繍から優雅な図柄まで、多彩な表情を見せてくれます。京繍の技法は、約30種類。立体感を出す「肉入れ繍」、糸を写実的に表現する「組紐繍(くみひもぬい)」、木の葉や花柄をあらわす「割り繍」など、一針一針を手作業で行うことで、京繍ならではの風格を生みだしているのです。

 京繍ができるまで

数多くの技法を使い分けて
一針一針を手で縫い上げる

京繍ができるまでまず、下絵描きの準備をします。鉛筆などで原画を描き、図柄を作製。下絵描き、配色、生地張りを行って、繍加工に移ります。京繍の技法は約30種類といわれ、伝統的工芸品に指定される技法は15種類。線をあらわす「まつり繍い」や「肉入れ繍」など、下絵の模様にそって、一針ずつ手作りで仕上げます。場合によっては、一年かかる刺繍もあり、根気が試される作業です。

主な産地・拠点 京都府
このワザの職業 刺繍職人
ここでワザを発揮 着物地、羽織、旗幕、緞帳
もっと知りたい 京繍(京都府)
京都伝統産業ふれあい館