どんな仕事?
一筋一筋を組む繊細な伝統。時代に合わせて変化
糸を組み合わせて、着付けの仕上げとなる帯締めなどの組紐製品をつくります。丸台、角台、高台、綾竹(あやたけ)台などの伝統的な道具を自在にあやつり、主に丸組紐、角組紐、平組紐の三種を、一筋一筋手作業で組み上げていきます。糸を組むだけの作業に思われますが、糸を染めることも大切な工程。染料を調合して、思い通りの色にムラなく染め上げるには、熟練したワザを要します。縄文時代がルーツといわれる組紐は、経巻(経文を書いた巻物)の紐に使用された奈良時代、武士の甲冑の紐として活躍した鎌倉時代など、時代によって用途が変化。今も、帯締めのほか、ストラップやネクタイといった現代らしい組紐のあり方を探っています。
こんな人に目指してほしい
手作業で組む楽しさ。可能性は自分の手の平に
手の平サイズの組紐の中には、無限の可能性が広がっています。3500種類以上の組み方、絹糸が織り成す艶、縄文時代からの伝統、50年耐える耐久性など、きりがありません。小さいながらも、伝統のワザが凝縮したものをつくりたいと思う人におすすめ。また、刀や巻物の紐、ネクタイなど、時代に合わせて変化してきた柔軟性も魅力のひとつです。そのため、伝統を受け継ぎつつ、新しいデザインへ挑戦できます。染める糸から細さ、模様、組み方にいたるまで、自分で確立した組紐を世の中に生み出せるのです。
組紐職人への道
三重県と京都府で学ぶ。
肌で体感してワザを習得
学歴や資格は特に必要ありません。弟子入りや組紐の製造会社に就職後、肌で技術を習得します。斬新なデザインだけでなく、50年以上使っても朽ちない頑丈さも兼ね備えなければなりません。伝統工芸の組紐生産で有名なのが、三重県の伊賀くみひもと京都府の京くみひも。どちらも、組紐を体験する施設が充実しているので、まずは現地にて自分の肌でワザを実感してみましょう。また、帯締めとして活用されるのが主なため、着物の専門学校で組紐科を設けているところもあります。
この職人がつくるモノ・コト | 帯締め、羽織紐、和洋服飾品、ネクタイ |
このワザに関わる資格 | 染色技能士 |
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