紀州箪笥の歴史
江戸時代から使われた高級箪笥。
婚礼調度品としても活用
江戸時代後期の1846年、落雷により和歌山城の天守閣などが焼失。4年後の1850年に再建される際に、長持(ながもち/衣類や寝具の収納箱)の道具類も製作されたことが起源だといわれています。他にも19世紀中頃の古文書に記述があるなど、すでに武家以外にも婚礼調度品として紀州箪笥が活用されたことがわかっています。明治時代の鉄道開通や、大正時代の大規模工場の登場で、急速に発展。その後も、紀州箪笥職人が全国各地を飛び回るなどの努力により、紀州箪笥を全国区にしました。現在は高級桐箪笥として、多くの人々を魅了しています。
紀州箪笥の魅力
火・水・虫に強く
何世代にも受け継がれる
紀州の桐箪笥は「身を焼いて中身を救う」といわれるように、火災時でも箪笥の中の衣類を守った例が多数あるほど火に強いのが特徴です。耐湿性や防虫性にも優れているので、衣料品の収納にぴったり。堅牢なつくりなため、何世代にも受け継ぐことができる箪笥です。
また、桐材特有の美しくやわらかい木肌と優しい木目が、桐箪笥を繊細でいてシンプルな表情にしてくれます。和室、洋室などの部屋のタイプを選ばないデザイン性です。部屋にひとつ置くだけでも、空間を安らぎと優雅な雰囲気にし、心を落ち着かせる魅力があります。最近ではインテリアの小物家具などにも力をそそぎ、時代に合わせた桐の家具も見逃せません。
紀州箪笥ができるまで
桐の美しさを活かすために
原木選びから仕上げまで携わる
紀州箪笥は、原木である桐を選ぶことから始まります。樹齢30年~60年の桐を柾目材に、その他は板目材に使用。完成後をイメージしてつくるため、職人の目利きの力が重要です。選材の乾燥後、板加工を施し、組立に入ります。垂直に組み合わせる部分に凸凹の切込みを入れる「組み手ほぞ」や、一方から組手が見えない「包み蟻型組手ほぞ」、「蟻型組手ほぞ」などの技法で、組む準備を行います。「組み手ほぞ」を組む場合は、その前に「木殺し」をします。角や面をたたき押さえて、組みやすくするのです。他にも、「ウツギ」という堅い木くぎで固定、水ぶき、仕上げ削りで組立をすすめます。最後に、蝋びきや扉・金具などをつけると完成です。
主な産地・拠点 | 和歌山県 |
このワザの職業 | 指物師 箪笥職人 |
ここでワザを発揮 | 桐箪笥 |
もっと知りたい | 和歌山地域地場産業振興センター |