どんな仕事?
歴史に培われたスタイルの中で、個性を発揮する
文字通り、舞台で歌舞伎を演じるのが歌舞伎俳優。時代物のヒーロー的な役柄の荒事、商家の若旦那など色恋に悩む優男が役柄の和事、さらに女性役を演じる女形と、役柄は様々です。もちろん、主役級の役どころ以外でも、その他大勢の侍や遊女役、馬の足の役と多彩な役柄があり、それらが全て揃って、歌舞伎の舞台ができあがります。スター的な俳優だけでなく、セリフのない目立たない役柄を演じる人も歌舞伎俳優です。歌舞伎が長い歴史の中で培ってきたスタイルを学び、かつ、担当する役柄に合わせて自らの演技力を発揮する、いわば職人的要素も重要な仕事です。
こんな人に目指してほしい
日本の伝統芸能の中で、自分を表現したい、という人
舞台で演じるのですから、基本的に人前にでるのが好きな人、自分を表現したいと思っている人に向いています。また、長い修行期間、訓練期間があり、さらに下積みの時代も長く続くかもしれません。心身ともに、それに耐え得る強さと、役者仲間やスタッフとチームとしてやっていけるコミュニケーション能力も必要です。苦労してでも舞台に立ちたい、日本の伝統芸能である歌舞伎が好きで、そうした文化を伝える一員になりたい、という人に目指して欲しい仕事です。
歌舞伎俳優への道
研修制度もあり。
地道な修行で舞台の上の職人に
古くは関係者の子弟、もしくは直接歌舞伎役者の家元に弟子入りすることが中心でしたが、現在は研修制度もあり、そこで訓練を受けた後、俳優としての仕事に取り組む、という道ができています。歌舞伎俳優は大きく「名題俳優」と「名題下俳優」のふたつに分けられます。「名題俳優」は芝居小屋の正面に掲げられた名題看板の上部に名前が書かれた役者で、看板役者ともよばれるもの。現在では、まず日本俳優協会の名題資格審査(名題試験)に合格して「名題適任証」を取得した上で、諸先輩やご贔屓、興行主など各方面の賛同を得て、名題昇進披露を行う必要があります。この「名題」に昇進していない俳優を「名題下」と言います。名題下俳優の主な仕事に「立廻り」があります。見事なトンボをきるなど、舞台を華やかに盛り上げる重要な存在。名題下俳優の中には「名題適任証」を取得していながら、あえて名題に昇進しない人もいます。まさに舞台の職人といえるかもしれません。
この職人がつくるモノ・コト | 歌舞伎 |
このワザに関わる資格 | 特にありません |
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