伊勢形紙の歴史
徳川紀州藩の庇護の下
江戸時代から全国で親しまれた
伊勢形紙の発祥には諸説ありますが、室町時代末期にはすでに存在していたと推定されています。江戸時代に入ると、伊勢形紙の生産地だった白子村と寺家村(鈴鹿市)が、紀州藩の藩下に。紀州藩の手厚い保護を受け、染形紙製作が発展していきました。商人は「紀州御用伊勢形紙」の提灯をかかげ、全国各地を行脚。伊勢形紙の名を、日本中にとどろかせたのでした。今では、型紙の生産量は全国の99%を占め、京都、東京、金沢を中心に出荷されています。※現在、「伊勢形紙」と「伊勢型紙」の表記が混在しています。伝統的工芸用具としては「伊勢形紙」が正しいのですが、今後は「伊勢型紙」て?統一する傾向にあります。
伊勢形紙の魅力
染色用具だけでなく、
美術工芸品としての地位も築く
伊勢形紙とは、友禅(ゆうぜん)や小紋(こもん)などの柄や文様を、着物の生地に染めるために使われる用具のこと。その生産量は全国で99%を誇り、各地の着物に洗練された美しさを届けています。また、型地紙(かたじがみ/柿渋で加工した和紙を張り合わせた紙)を彫り抜く伊勢形紙は、染色用具のみならず、照明などのインテリアとしても活用。彫刻刀を使って、手で丹念に彫られる繊細な図柄が、空間に趣ある雰囲気をつくりだします。型紙自体も、その精巧さから美術的価値として認められており、額縁に入れて飾る人もいます。
伊勢形紙ができるまで
繊細で美しい模様を生む
4つの彫刻技法
工程は、型地紙づくりと彫刻の2つに大別できます。まず、数百枚を重ねた和紙を裁断。紙つけ、乾燥、室干し、型地紙の完成を経て彫刻です。伊勢形紙の彫刻は、刃自体が花、菱などの形に作られた彫刻刀を使う道具彫りをはじめ、錐(きり)彫り、突(つき)彫り、引(ひき)彫りの4つの技法があります。職人が得意とするワザを駆使して、繊細な模様を生みだすのです。その後、紗張り(しゃばり)、糸入れで完成です。
主な産地・拠点 | 三重県 |
このワザの職業 | 型紙彫刻師 |
ここでワザを発揮 | 染色用具、美術工芸品、インテリア |
もっと知りたい | 伊勢型紙協同組合 |