東京都 江戸指物

 江戸指物の歴史

江戸っ子に広く浸透した
江戸指物のはじまりは、江戸時代

江戸指物武家用、商人用、そして江戸歌舞伎役者用など、多彩な品々が生まれた「江戸指物」。その始まりは、江戸時代。時の幕府が、腕の立つ職人を全国各地から呼び寄せ、職人の町をつくり、手工業を発達させたことに起因します。東京都内に、大工町や鍛冶町といった町名があるのは、その名残です。その後、「江戸指物」は、粋な江戸っ子の間で家庭用具として広く浸透。需要の高まりとともに、職人の技術も向上・発展し、徐々に江戸の産業として確立されていきました。現在もその技は受け継がれており、多くの職人が試行錯誤を繰り返しながら、和家具をつくり続けています。

 江戸指物の魅力

美しく柔らかな木目と、
末永く使い続けられる堅牢さ

江戸指物江戸の人々の粋な心が宿る「江戸指物」。その象徴が、漆や蝋、砥の粉などの自然素材によって引き出される、美しく柔らかな木目です。また、華美な装飾を避けて生み出される、シンプルな佇まいも特徴。堅牢で使い続けるほど、暮らしに馴染み、生活を彩るといった点も大きな魅力となっており、高い評価を得ています。さらには、少しでも美しくなるよう金釘を一切使わずに、外側から木と木の合わせ目が見えないよう工夫されているなど、職人による憎い演出がされていることも見所です。

 江戸指物ができるまで

板材の噛み合わせを考えながら
凹凸を彫り、組み合わせる

江戸指物ができるまで金釘を一切使うことなく、板材や棒材をノミや小刀などを使い、凹凸を彫り込んで組み合わせることで生み出す「江戸指物」。その製造工程は、「木取り」「組み手加工」「かりがため・組み立て」「外部仕上げ」「漆塗り・金具のとりつけ」の5工程からなります。まずは、材料となる木の木目に配慮しながら、ひとつの木材からいくつの板材をとれるかを見極め、切断。つぎに、板材同士がピタリとかみ合うように、「ほぞ」と呼ばれる凸凹を、切り込んでいきます。職人としての腕が試される工程です。組み手加工を施した板材は、仮組みし、かみ合わせの善し悪しをチェック。問題なければ、金槌を使い組み立てたのち、加飾加工を施します。最後に、漆で仕上げ、金具を取り付ければ完成です。

主な産地・拠点 東京都
このワザの職業 指物師 大工
ここでワザを発揮 箪笥、机、鏡台、棚、火鉢
もっと知りたい 江戸指物|東京都伝統工芸士会
江戸指物協同組合