呼び方について
「伝統的工芸品」と「伝統工芸」、あるいは「伝統工芸品」と呼ばれるものには、さまざまな定義があり明確に区別することはできません。「伝統的工芸品」という呼び方は、伝統工芸を保護・振興するための法律「伝統的工芸品産業の振興に関する法律(伝産法)」(1974年5月25日公布)で定められています。“的”とは、「工芸品の特長となっている原材料や技術・技法の主要な部分が今日まで継承されていて、さらに、その持ち味を維持しながらも、産業環境に適するように改良を加えたり、時代の需要に即した製品作りがされている工芸品」というほどの意味だそうです。ニッポンのワザドットコムの中では、一般的な呼び方である「伝統工芸」を主として使用しています。
伝統工芸品の要件
伝統的工芸品は、法律(伝産法)上では次の要件が必要と規定されています。
1.主として日常生活の用に供されるものであること
2.製造過程の主要部分が手工業的であること
3.伝統的技術または技法によって製造されるものであること
4.伝統的に使用されてきた原材料であること
5.一定の地域で産地を形成していること
伝統工芸品の数
伝統工芸品産業の概要調査は、経済産業省の外郭団体である(財)伝統的工芸品産業振興会の指導調査部が行っています。経済産業大臣が法律(伝産法)により指定している全国の伝統的工芸品は、225品目です(2017年1月現在)。
伝統工芸の現状
「生活スタイルの洋風化」や「海外からの安い輸入品が増えた」ことなどが原因となり、伝統工芸品産業は徐々に縮小しています。(財)伝統的工芸品産業振興会の指導調査部では、伝統工芸品産業についての調査を随時行っていますが、その結果によれば1979年に34,043社あった企業が2012年には13,567社にまで減っています(下図「現在の伝産業界の情勢」参照)。従事者数の減少はもっと顕著で、ピーク時の1986年が304,772人に対して2012年は69,635人になっています。
一方で、「ゆたかな暮らしをもたらす質の高い製品へのニーズ」、「地域独自の文化を見直そうという風潮」や「和の暮らしやものづくりへの再評価」、そして「循環型経済社会を体現している産業としての評価」が高まるなど、伝統工芸品産業を取り巻く環境には明るい兆しもみられます。
現在の伝産業界の情勢
項目 | 平成24年度 | 参考 |
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従事者数 | 69,635人 | 288,000人(昭和54年) |
企業数 | 13,567企業 | 34,043企業(昭和54年) |
生産額 | 1,040億円 | 5,400億円(昭和58年) |
(経済産業大臣指定伝統的工芸品のみ・「伝産法」施行後の統計による)