どんな仕事?
千年の時を超えた書跡を今に残す、高耐久の墨づくり
書道などで使う墨を製造します。千年以上前の書物を現在でも読むことができるのは、この高い耐久性をもつ筆記材料のおかげです。墨の原料は、煤(すす)と膠(にかわ)、香料。良い墨をつくるには、原料を選別する目をはじめ、揉みあげ、型入れなどの熟練した技、完成まで1年以上見守る根気強さが重要です。特に揉みあげの工程は、手や足といった全身の力を込めて行い、煤や汗にまみれるため、まるで格闘しているかのよう。本格的な作業は10月~4月の寒い季節で、毎日微妙に変化する温度や湿度を考えながら墨をつくります。どこか懐かしい香りと日本を感じさせる色は、職人の魂が生みだしているといえます。
こんな人に目指してほしい
自分の作品を、使う人の喜びを通して千年先に
墨づくりで使う原料は、煤、膠、香料の3つ。気候や時間によって生じる微妙な変化を感じとって、シンプルな素材をいかにうまく配合できるかが大切になります。揉みあげていく工程も、どのくらいの加減かを経験で身につけなければなりません。そこにはマニュアルが存在しないため、自分流の技を確立する楽しさがあります。だから、「誰かの指示でやらさられるのではなく、自分で編み出したい」と考えている人に向いています。また、主な作業は10月~4月に行われるので、寒さに強い身体・精神が必要です。墨は、書道家、芸術家、一般の人に喜ばれてこそ、意味があります。それが、千年先も残ると思ったら、何ともいえぬうれしさがこみあげてきます。
墨づくり職人への道
二大産地で、
まずは現場を見てみよう
特別な資格は必要ありません。墨製造会社への就職や弟子入りで道が開けます。墨づくりの主な産地は、奈良県奈良市と三重県鈴鹿市です。見学できる会社もあるので、自分の足で現場を見ることをおすすめします。墨づくり職人は年々減少しており、若い人にとってチャンスだといえます。
この職人がつくるモノ・コト | 和墨 |
このワザに関わる資格 | 塗料調色技能士 |
こんな職業も見てみよう | 墨型彫刻師 |