切子職人

 どんな仕事?

多彩な伝統模様を繊細なカット技術で生む

切子は東京の江戸切子と鹿児島の薩摩切子が有名。透明なガラスと色を薄く被せたガラスを使用する江戸切子のカットは深く鮮明で華やかなのに対して、薩摩切子は透明なガラスに色を厚く被せた「色被せガラス」を使用し、カットで色彩豊かなグラデーション(ボカシ)を生むという違いがあります。製作工程はほぼ一緒で「割り出し(墨付け/薩摩・あたり)」と呼ばれる、図柄を入れる際の目安となる基本線を引く工程からはじまり、基本線に沿って溝を掘る「荒摺り(薩摩・荒削り)」、カットの最終工程「石掛け」、艶を出し手に馴染む肌ざわりを生む「磨き」という流れとなります。切子には魚子(ななこ)・麻の葉・矢来など、伝統的な模様が多くありますが、時代に合った斬新なカットを施す職人もいます。

 こんな人に目指してほしい

美しい模様を生み出す器用さと美的感覚が必要

切子の特徴である美しい模様を削り出す、グラインダー(研磨仕上げなどをする機械)を自由自在に扱えるようになるには、手先の器用さと経験が必要。多くの経験で培った確かな技術と勘が作品の仕上がりを左右します。また、飾るだけの切子ではなく、グラスなどは毎日の食卓で、楽しんで貰えるように、実用性を考えたデザインも大事です。一方、煌びやかで華やかな切子のイメージとは反して、作業は一日中椅子に座って行われるので、集中力も不可欠。技術を身につけるためには同じ作業も繰り返し、常によりよいものを目指して挑戦し続けていくことが大事です。また切子職人にはデザインセンスも重要。技の追求には地道に取り組む一方、遊び心も大切。さまざまなものから学んでいく姿勢が必要です。

 切子職人への道

切子職人に弟子入り。
切子工房での見学や体験がお薦め

切子職人になるには、特に資格は必要なく、職人に弟子入りするのが一般的です。学校を卒業後弟子入りする方も多いですが、サラリーマンから転職する方もいます。切子職人を目指す方には、江戸切子であれば東京都東部地域、薩摩切子であれば鹿児島に多くある切子工房での見学や体験をおすすめします。また、最近ではカルチャースクールなどで切子を学べるので、本を読むなどして切子に詳しくなるのも良いですが、実際に体感してみるのもいいでしょう。近年、切子の美しさに魅了された女性の職人も増えてきています。

この職人がつくるモノ・コト グラス 食器 花器
このワザに関わる資格 特にありません
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