滋賀県 信楽焼

 信楽焼の歴史

約1250年前からの文化を継承
時代のニーズに応じた多彩な陶器

信楽焼信楽焼は、日本六古窯(ほか瀬戸焼など)の中で最古のものだといわれています。起源は、東大寺などが建立された天平時代(奈良時代)。聖武天皇が紫香楽宮(しがらきのみや)を造る時に瓦を焼いたことが始まったと伝えられています。鎌倉時代には、すり鉢などの日用雑器として普及し、安土・桃山時代には茶陶器の生産が盛んでした。江戸時代に入ると、陶磁器製品を大量に焼成できる登り窯の採用により、茶壺を代表とする生活雑器が生産の中心になりました。その後、釉薬を使用した火鉢が有名になり、現在は花器、食器、タイルなど多種多様な信楽焼が誕生しています。

 信楽焼の魅力

有名な狸の置物の生産地。
土を感じさせる素朴な風合い

信楽焼なじみ深い信楽の狸の置物をはじめ、コシが強いといわれる陶土の性質を活かした大きな陶器が魅力のひとつ。落ち着きのある素朴な味わいを持ち、日本の「わび・さび」を感じさせます。また、信楽焼の特徴は大きく3つにわけられます。焼成することで表面がほのかに赤くなる「火色」、薪の灰により釉薬をかけたようになる「ビードロ釉」、薪の灰に埋まった部分が黒褐色となる「焦げ」。これらが融合して、信楽焼の素朴な美しさを引き出しているのです。長い歴史が育んだ信楽焼は、植木鉢や食器、インテリア用品などの様々な陶器を生みだしています。

 信楽焼ができるまで

24時間焚き続け、1週間以上。
技術の研磨で、良し悪しが決まる

信楽焼ができるまで「火色」、「ビロード釉」、「焦げ」による素朴な美しさを持つ信楽焼はまず、成形から始まります。約20種類ほどある原土を用途に応じて使い分け、水と混ぜて練り上げます。できた陶土をたたきつけて空気を抜き、ひも状などにします。ろくろで輪の形にひねりながら積み上げ成形。その後、素地に模様をつけ、顔料を用いて絵つけを行います。器物をよく乾かし、約750℃で素焼きにした後、灰を使って釉をかけます。そして、1300℃前後の高い温度で本焼きをします。登り窯の場合、1週間以上もかかります。炊き終えたら、自然に冷めるのを待って窯出しをして完成です。

主な産地・拠点 滋賀県
このワザの職業 陶芸家 ろくろ成型職人
ここでワザを発揮 花器、食器、傘立、置物、植木鉢、庭園用品
もっと知りたい 信楽伝統産業会館
滋賀県立 陶芸の森