岩手県 岩谷堂箪笥

 岩谷堂箪笥の歴史

清衡が工芸を奨励したのが起源。
江戸中期には、車付箪笥が商品化

岩谷堂箪笥1100年代頃、藤原清衡(きよひら)が木工や金工、漆工などの諸工芸を奨励したことが起源と伝えられています。江戸中期には、岩谷堂城主・岩城村将(いわきむらまさ)の指示によって車付箪笥が商品化。文政年間には、岩谷堂箪笥の特徴である飾り金具の原形を徳兵衛という鍛冶(かじ)職人が考案しました。その後の明治時代には、人々の生活が豊かになると共に、堅牢さ、美しさを兼ね備えた岩谷堂箪笥は、東北各地で人気を博しました。現在では、一般の人にも広く使ってもらえるような品も揃えるなど、さまざまなニーズに柔軟に対応しながら、歴史ある伝統の技を守り続けています。

 岩谷堂箪笥の魅力

龍や唐草などの美しい飾り金具。
代々受け継ぐことの出来る丈夫さ

岩谷堂箪笥龍や虎、唐草、松竹梅、獅子など、飾り金具の模様の精密さ、美しさが光る岩谷堂箪笥。外側にケヤキ、内側には燃えにくく、防虫効果もあるキリを用いて精巧に作られているため、何代にも渡って使い続けることもできます。また、年月の経過と共に漆の色が薄くなり、ケヤキ本来の木目の美しさが際立つなど、味わいの深い経年変化も魅力的。暮らしに根ざした商品も多く、火事になったときも容易に外に運べる車輪のついた車付箪笥や、階段としての実用性も備えた階段箪笥などがあります。

 岩谷堂箪笥ができるまで

漆を丹念に塗ることで、
美しさと堅牢さを生みだす

岩谷堂箪笥ができるまで十分に年月を掛けて自然乾燥させアクを抜いたケヤキを、用途に応じた部材に製材していきます。その後、部材を木地加工し、組み立て、鉋(かんな)で表面をなめらかにしていきます。この「切り込み」・「組手加工」の工程は、手作業で行うため、熟練の技術と長年の勘が求められます。つぎに、組立てた本体に、引出しがピタリと収まるように鉋で削り合わせていきます。そして、箪笥の外側に漆を丹念に塗り、美しさと、堅牢さを生みだしていきます。最後に、飾り金具を製作し、木地に金具を取り付け完成です。

主な産地・拠点 岩手県
このワザの職業 指物師
ここでワザを発揮 箪笥
もっと知りたい 岩谷堂箪笥生産協同組合