和傘職人

 どんな仕事?

和傘の中に、いつまでも愛される色鮮やかな世界を創造

複雑な動きをする和傘をつくるのには、30以上もの工程があり、「骨組み」・「和紙張り」・「色・漆塗り」「仕上げ」という4工程に大別できます。昔は十数人の職人で分業していましたが、職人の激減とともに、その仕組みは失われてしまいました。そのため、大抵の場合、材料の仕入れから製品の仕上げまでを一人が一貫して行い、完成までには約2ヵ月を要します。最近では実用品としてではなく、お芝居や踊りに使用されるなど、人を飾り引き立てる小道具としての役割が主。ですが、今も昔も変わらないのは、和傘を開くと一瞬にして広がる色鮮やかな世界です。こうした高い芸術性も求められる一方で、強度の高い繊維の目の長い和紙を厳選して作るなど、いつまでも愛用できる、高い耐久性を生みだすことも大切な要素となります。

 こんな人に目指してほしい

お客様の「声」を素直に受け入れられる柔軟な心

材料の仕入れから和傘の制作・仕上げ、そして時には販売までをほぼ一人で行うため、納得のゆくまでこだわって制作できます。しかし、その反面自ら製作した和傘へのお客様の反応がダイレクトに返ってくるという意味では、大きな責任を背負うことにもなります。ですので、お客様から頂いた有り難いお言葉や勉強となるお言葉を、素直に受け入れられる心の柔軟性が必要となります。また、各地の和傘業者・工房が残り数件という現状から「私が、ボクが日本を代表する和傘職人になり、ふたたび和傘業界を盛り上げたい」といった、大いなる志も不可欠といえます。

 和傘職人への道

有名産地で工房や師匠を捜し、
弟子入りを志願しよう

和傘職人になるには、弟子として受け入れてくれる和傘工房を探しだしたうえで、実際に出向き、弟子入りを志願する方法しかありません。ちなみに岐阜、金沢、京都が和傘の有名所です。現状としては、どこも後継者不足は深刻で、和傘製造業者が残り数件という産地も決して珍しくありません。もしかしたら、和傘で生計を立てることが難しい実情を知る職人さんたちは、良心のもと「ウチは無理だよ」なんて、あっさりと弟子入りを断るかもしれませんが、あきらめず思い描く将来像を訴えれば、その気持ちは必ず伝わり、道は開けることでしょう。

この職人がつくるモノ・コト 番傘、蛇の目傘、舞踊傘、野点(のだて)傘
このワザに関わる資格 特にありません
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