うちわづくり職人

 どんな仕事?

熟練した職人の技からなる夏の風物詩「うちわ」を創る

日本の夏に欠かせない風物詩として、今もなお根強い人気を誇る「うちわ」を作るお仕事。千葉の「房州(ぼうしゅう)うちわ」、京都の「京うちわ」、そして全国のうちわ生産量の約90%を占める香川の「丸亀うちわ」が日本3大うちわとして有名です。うちわづくりは多くの工程を経て完成しますが、中でも21の工程を要する「房州うちわ」づくりは特異で、うちわを製作する傍ら、制作全体の流れをコントロールする「うちわ屋」。そして、うちわの骨部分になる竹を薄く、細かく分割するため、熟練の技が必要とされる「割き屋」。さらには、「貼り屋」・「縁屋」・「編み屋」・「弓削屋(すげや)」・「下窓屋」といった様々な職人さんがいて、はじめて成り立ちます。また、うちわづくりは季節商売のため、夏前には大量の注文を受けることも多く、仕上げの手早さや丁寧さが求められます。

 こんな人に目指してほしい

伝統を次世代に繋ぐ使命感と、切磋琢磨し腕を磨く姿勢

うちわづくり職人は着実に減少しているので、後継者として次世代に伝統の技を残さなければ、という強い使命感を持つ方が相応しいでしょう。また、前述の房州うちわの「うちわ屋」には、各工程を深く理解し、全体を指揮する技量も必要とされます。さらには、オーダーメイドで一点物を製作する場合は、顧客の要望からデザインを立ち上げる創造力と、確かな技術が不可欠となります。一方で、先輩や後輩とうちわの仕上げの早さを競い合うなど、切磋琢磨しながら仕事に打ち込む姿勢も大切となります。

 扇骨師への道

うちわ製造会社が主な職場。
会社員からの転職も有り

家業を継ぐ場合がほとんどですが、サラリーマンからうちわ職人に転職された方もいるため、完全な世襲制ではありません。うちわづくり職人への第一歩は、香川や京都、千葉のうちわ製造会社や個人経営のうちわ工房に、弟子入りすることです。一人前になった際は、師匠から受け継いだ伝統の技と心で、産地独特のデザインと共に時代にマッチしたデザインを施すことも大切ですので、常に最先端のデザインに触れることも欠かせません。なぜなら、現代におけるうちわは、単に涼むための用具としてだけでなく、目を楽しませる優れた美術工芸品としての一面もあるからです。

この職人がつくるモノ・コト うちわ
このワザに関わる資格 特にありません
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