手漉き和紙職人

 どんな仕事?

一枚一枚を漉くことでできる千年以上の耐久性

楮(こうぞ)、三椏(みつまた)、雁皮(がんぴ)といった落葉低木を原料に、トロロアオイの粘液を混ぜ、一枚一枚を手作業で漉(す)いて和紙をつくる職人です。和紙は、書道半紙のほか、壁紙や名刺、照明器具、ドレスまで、用途は様々。製品によって、自然素材を使い分ける技が必要です、また、約1300年前の和紙が正倉院に残存するように、保存性に優れています。破れにくい強靱さは世界にも認められ、たとえばヨーロッパの美術館では、絵画の修復に薄い和紙が多用されるほど。昔と変わらない品質へのこだわりが、和紙の地位を築いているのです。

 こんな人に目指してほしい

自然との対話を楽しむ。100種類以上の製品

和紙が好きな人はもちろん、自然素材を相手に何かをつくりだしたいと思っている人に向いています。「いい紙」の定義は、障子紙、半紙などの100種類以上ある製品によって違うため、何にでも対応できる柔軟なワザが大切です。また、和紙づくりの主な作業は冬場、原料は植物。日ごとに異なる湿度・温度を見極め、自然素材をうまく活かすことで、良質な和紙ができあがるのです。一方、和紙の生産量は年々減少しています。書道半紙などの素材として使われていた時代とは変わり、ちぎり絵といった趣味用途の需要が多くなっているからだといわれています。そのため、若い職人たちは、1300年以上の歴史ある和紙をどうやって世の中に広めていくのかを考えなくてはなりません。

 手漉き和紙職人への道

全国に分布する和紙産地。
自分に合う和紙製品を見つけよう

特に資格や免許は必要ありません。京都伝統工芸大学校などの和紙を学習できる専門学校をはじめ、全国の生産地では技の伝承に取り組んでいます。95%以上の和紙業者が参加する全国手すき和紙連合会(www.tesukiwashi.jp)のホームページ内では、北海道から沖縄県まで、全国の和紙産地を紹介しているので、まずは自分がつくりたい和紙を探してみましょう。

この職人がつくるモノ・コト 書道半紙、書画・版画用紙、襖紙、障子紙、染紙、封筒、便箋、はがき、名刺
このワザに関わる資格 特にありません
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