箪笥職人

 どんな仕事?

箪笥の製造と修理。ミリ単位の正確な加工技術

箪笥を一から造ることはもちろん、親から子へと代々受け継ぐことが出来るよう修理するのが箪笥職人の仕事です。産地や職人によって製造工程は異なりますが、木地づくり、組立て、引き出しづくり・扉づくり、塗装、金具付けなど、約130にも及ぶ工程を一人、もしくは分業制で行います。数ある工程の中で気を付けなければいけなのが、引き出しづくりです。引き出しと本体の間に隙間があると、虫食いや、カビなどから衣類を守れないからです。また、この作業は1mmの誤差も許されず、機械に頼ることなく仕上げることから、まさに職人の腕が問われます。そのほか、塗装の工程も出来・不出来によって、箪笥全体の表情が変わってくることから、大切な作業とされています。

 百年先も残る作品を造りたい人に挑戦して欲しい仕事

計算しつくされた精緻なワザで実用にも応える

百年先も自分が造った作品を使い続けて欲しい。そんな思いを持っている人に挑戦して欲しいのが箪笥職人です。箪笥の材料となる木は伐採後も湿度などによって伸び縮みすることから、木の性質を知る必要もあるなど、一つ一つのことが勉強であり、絶えず向上力が求められます。また、箪笥の修理も貴重な勉強の場です。それは、修理に出される箪笥は、過去にも修理された形跡があるものも多く、以前修理した職人さんのワザなど、今まで知らなかったアイデアを習える場でもあるからです。「仕事を通じて会話するような感覚にも似ている」と話す職人さんもいます。

 箪笥職人への道

箪笥職人に弟子入り、
また箪笥製造会社に入社

箪笥職人になるには、特別な資格は必要なく、職人に弟子入りする、もしくは箪笥製造会社に入社するという方法があります。また、後継者を育てている地域団体もあるので、そうした支援のもと、箪笥職人への道を歩むのも良いでしょう。職人というと、代々受け継いできた家系の人がなるというイメージがありますが、近年は分業制も進み、転職し、修行する方も多く見られることから門戸は広いといえます。ただし、一人前の箪笥職人になるには、約10年という長い月日が必要となります。まずは、全国の主な産地である春日部(埼玉県)、加茂(新潟県)、名古屋(愛知県)、泉州(大阪府)などを訪れ、職人の仕事ぶりを肌で感じることをおすすめします。

この職人がつくるモノ・コト 箪笥
このワザに関わる資格 家具製作技能士
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