絞り職人

 どんな仕事?

糸括りの技法で、織物に繊細な模様を写し出す

生地(織物)を糸で括(くく)り、染色して模様をつくる職人です。糸で括った部分が「防染(ぼうせん/染料が入るのを防ぐ)」の役割を果たし、円型や菱型、立体的といった多種多様な模様を表現します。そのため、括り技法も様々。糸を隙間なく括る「疋田絞り(ひったしぼり)」、クモの巣のような模様を生む「手蜘蛛絞り(てぐもしぼり)」、太陽をイメージさせる「日の出絞り」など、百種類以上にもおよぶ技法を使い分け、美しい染色品を生産しています。同じ染料を用いても、生地によって染まり方が異なるため、いかにきれいに染めるかが職人の腕の見せどころ。絞り染めには、手作りならではの素朴な親近感があります。

 こんな人に目指してほしい

もっとも古い技法を習得。自分の発想を表現する楽しさ

絞り染めは、染色の中で一番古い技法だと言われています。日本が太古から育むワザに触れたい人、糸括りで模様を出す染色技法に魅力を感じる人などに向いています。絞りの工程は、分業が基本。それぞれの職人が、切磋琢磨しながらワザを向上させる楽しみもあります。一方で、百種類以上ある絞りの技法は、後継者不足で消えていくという状況も。一人の職人しか身につけていない技法もあり、世の中で自分のみが受け継ぐワザを習得できます。いろんな可能性を秘めているので、若い人にとってチャンスが大きい職業です。

 手描き職人への道

まずは、二大産地へ。
10年以上の修行で一人前に

絞り染めは、京都府の「京鹿の子絞」、愛知県の「有松・鳴海絞」という二大産地をはじめ、少数ですが各地域に広がっています。まずは、それぞれの生産地で見学することをおすすめします。その後、絞り職人への弟子入りや染物製作会社への就職で道が開けます。学歴や資格は、特に必要ありません。一人前になるのに、10年以上かかるといわれているので根気が必要です。

この職人がつくるモノ・コト 着物地、羽織、浴衣、兵児帯、帯揚、洋装用品、室内装飾品
このワザに関わる資格 染色技能士
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