おすすめの催し vol.1
パークホテル東京 2012/10/16

パークホテル東京・ステイプラン
記者会見で語られたそれぞれの思い

編集部プロデュース、
ステイプラン誕生の背景とは

 2012年5月の東京スカイツリー®開業に沸く、東京都墨田区。開業から2ヶ月間で東京スカイツリータウン®を訪れた人は約1029万人となるなど、大変な賑わいを見せています。現代の工業技術の粋を集めた東京スカイツリー®ですが、実はここ墨田区が、東京スカイツリー®が完成する以前の江戸時代から、卓越したものづくりの技術を持つ職人の街であることは、それほど知られていません。ニッポンのワザドットコムでは独自取材を行い、これまで2回の編集記事で「墨田区のものづくり」についてお伝えしてきました。取材を行う中で、編集部が驚かされたのが、墨田区が区を上げて「墨田区のものづくり」に取り組んできた長い歴史があること。その「ものづくり」がとてもバラエティ豊かだということ。さらに一つ一つの製品に匠の技だけでなく、思わず微笑んでしまう“職人の遊び心”が息づいているのにも魅了されました。「墨田区のものづくり」を、もっと多くの人に知ってもらえないだろうか。今回、パークホテル東京のステイプラン「東京スカイツリー®が見える部屋で、職人の街・すみだのものづくりに出逢う」をプロデュースするに至った背景には、編集部のそんな思いがありました。
 ステイプランは、パークホテル東京をはじめ、すみだ地域ブランド推進協議会、「ALEXCIOS」を運営するアレックス株式会社、そしてプランに製品を提供してくださった墨田区の事業者、「東京スカイツリー®カクテル」の生みの親、墨田バーテンダーズネットワークなどたくさんの方々のご協力のもと誕生したものです。9月21日(金)の記者会見は、この企画本来の「墨田区のものづくりをもっと多くの人に伝える」という目的のためには、それぞれの思いをメディアを通して広く発信する場が必要と考え準備しました。記者会見に先立つ8月30日(木)には、すみだ地域ブランド推進協議会理事会理事長、水野誠一氏(株式会社IMA代表取締役)に実際にステイプランの「めでた尽くし」の体験宿泊をお願いいたしました。
 9月21日(金)15時より、パークホテル東京の25階ラウンジにて始まった記者会見は、天空から自然光の降り注ぐアトリウムという開放感も加わり、終始和やかな雰囲気。記者席には、ステイプランで宿泊者に提供する「東京スカイツリー®カクテル」もサーブされました。司会は、日本デザインマネジメント協会総合研究所幹事、内田芳嗣氏にお願いいたしました。
 会見は、まずパークホテル東京総支配人、林義明氏(株式会社芝パークホテル代表取締役副社長)のご挨拶から始まりました。

パークホテル東京が、
これから目指すこと

 パークホテル東京は、汐留再開発という大型プロジェクトの中、2003年にオープン。来年は10周年を迎える、客室数273室の宿泊特化型ホテルです。開業当初から「最高級のホテルを目指すのではなく、サービスの行き届くサイズのホテル、個性を持ったオンリーワンホテルを目指した」と林氏は語ります。デザインはフランス人建築デザイナー、フレデリック・トマによるもので、完成後はワールドワイドな個性的なホテルの集まるグループ、「デザインホテルズ」の一員としてスタートしています。オープンからのテーマは、絶えず情報を発信するホテルでありたいということ。たとえばアトリウムの音響効果を活用したオープン時から続くジャズの生演奏、またクラシックのコンサートやプロのミュージシャンのファンの集いなどを開催。最近ではジュジュのプライベートコンサートも行われたそうです。そのほか音楽以外にも車や船、有名なチョコレートメーカーの日本デビューなどさまざまなイベントにこの場所を提供して来られたそうです。
 2012年に入ってからの大きなテーマを、林氏はこう語ります。「今年に入ってひとつの大きなテーマを掲げて他力本願ではなく、自分達で情報発信をしてゆこうと言う方向転換をしました。アートカラーズと銘打って日本の美意識を発信しようという、なんとも崇高なテーマがスタッフから出てきました。思えば私たちはデザインホテルズのメンバーであり、宿泊者の中にはデザイナーやミュージシャンなどが少なくありません。本棚のアート本の中に、宿泊したデザイナーが勝手に自分の本を置いてゆくという事も良くありました。またルーヴル美術館の前館長さんも常宿にしてくださったり、ポンピドーセンターの館長さんにもご宿泊いただきました」。テーマの前身となったのが、2010年にアトリウム全体を巨大なアートで飾った、現代アーティストのアキラ氏とのコラボレーション、そして2011年末に開催した池田満寿夫氏の作品展。この流れが、現在開催している佐々木誠氏の秋の月の黄色をイメージした展示を含め、日本の四季に沿ったカラーズをテーマにした過去4回の展示につながっているそうです。
 そして、もう一つ続けてきたテーマが「ニッポンのワザドットコムさんの協力のもと、継続的に開催している『職人という生き方展』です。これまでに江戸小紋、輪島塗、駿河竹千筋細工、江戸切子とやってきて、伝統工芸のワザの美しさ、あらためてそのモダンさに感銘を受けました。私共ホテルは経済産業省の発信するクリエイティブ東京宣言に賛同。同じく賛同者である墨田区、墨田モダンが発信する日本の美意識の発信と結びついたわけです。先程の江戸小紋、江戸切子はまさにその中にありました。そして今回のコンセプトルームが生まれたのです」。
 この「職人という生き方展」を開催していて驚くべきこととして林氏は、毎回、高額を出して購入される外国人のお客さまがいることをあげています。「日本人よりも外国人のほうが日本の美意識に敏感であり、モダンな物として作品を見ているようです。このホテルは60%が外国人客です。その方々と日本の美意識を繋げることが出来ないかというのが私の考える一つのテーマです」。パークホテル東京では来年にかけてこのラウンジをアートラウンジとして改装する計画があるそうてす。また、客室に作品を描く、アートルームにも挑戦するとのこと。「将来、全ての部屋が違ったアーティストの作品となったらまさにオンリーワンのホテルに生まれ変われると思っています。そしてアートラウンジをアーティスト同士の交流できるスペースに、またウェブやSNSなどでグローバルに交流が出来るプラットホームが出来るまでに広げて行けたらと。そんな壮大なことをあたためています」と、今後の展開への意気込みを語られました。

プラン宿泊を体験して、
今後に期待すること

 次に、宿泊体験の感想を中心に、すみだ地域ブランド推進協議会理事会理事長の水野誠一氏(株式会社IMA代表取締役)がご挨拶されました。
 パークホテル東京を訪れたときに水野氏がまず感心されたのは、巨大なアトリウム空間。「これだけ贅沢な吹き抜けのあるロビーがあるホテルは、日本にはなかなかないものです。しかも宴会場ではなく、さまざまなイベントに使われているとのこと。ロビーで出会うことのできる様々なアートを見ても、経営者のしっかりしたコンセプトを感じ共感しました」。また「21世紀は文化の時代。文化が日本の経済やビジネスをひっぱっていく」と日頃から説かれる水野氏は、同時に観光立国を標榜する日本に日本らしさ、あるいは江戸らしさが失われていることに危機感を持たなければならないとおっしゃいます。高層ビルがあるから東京は世界級の都市だとはいえない。特に文化が成熟している海外からは、そうは思ってもらえないと。それを解決するひとつの要素がアート、文化。もう一つが東京らしさ、日本らしさ、江戸らしさ。文化の違い、アイデンティティが明確化しているかどうかが大事だとおっしゃいます。「諸外国の日本文化への関心は高い。(アニメなどへの関心もあるが)日本の伝統的文化への関心も高いと言える。そういうことで、こちらのホテルは非常にバランスがとれている」とも。ご自身は、すみだ地域ブランド推進協議会で、墨田区のブランディングに関わっていらっしゃいますが、今回あらためて、墨田区生まれのものをパッケージしたステイプランを体験されて驚かれたそうです。「宿泊プランの中でお土産、『めでた尽くし』を選んだのですが、パッケージを開けてみたら、小林さんの塩あられ、片岡さんの屏風、そして何よりもびっくりしたのは大きな鯛のかたちの石鹸です。ああいうものに出逢った時の喜びは、日本人は比較的慣れてはいるが、海外の人はこのプランで宿泊されたら大変喜ぶだろう」と嬉しく思われたそうです。いま墨田区は東京スカイツリー®というシンボルの完成で活況を呈しているが、それだけでは喜んでいられない。水野氏ご自身が海外からご友人を招くとき、やはり彼らは浅草だったり、墨田区の老舗だったりに関心を持つ。「我々自身が日本的なものを忘れている時に、外国の方から逆に教わることは多い」とも。そういう意味でも、「パークホテル東京はバランスがとれているし、世界語になった『おもてなし』も大変いいホテル」。これを是非、幅広く情報を投げ知らせていただきたいと結ばれました。

企画にあたって、
編集部の思いと経緯

 次にニッポンのワザドットコムを運営する有限会社ブレインカフェ代表取締役木下のぞみから、今回の企画誕生の経緯と思いが語られました。
 「インターネットサイト『ニッポンのワザドットコム』は、日本のものづくりを推進・継承する“職人”を応援することを目的として、2010年3月にスタートしました。当初は、サイト上での情報発信にとどまっていましたが、現在は『広める』『盛り上げる』の二つの柱で、情報発信と物販で市場を活性化することをミッションとして活動しています」。インターネットサイトを飛び出した「リアル」な活動の場として、パークホテル東京さんとのご縁は、2011年6月に始まりました。林氏からご紹介があったように、展示イベント「職人という生き方展」は、Vol.5を数えるまで回を重ねてきました(10月からはVol.6「東京銀器」を開催中)。また「職人という生き方展」の期間中に職人を招いてのトークショーを「駿河竹千筋細工」「江戸切子」の2回、ラウンジにて開催させていただいています(「東京銀器」のトークショーは11月21(水)に開催予定)。今回のステイプランは、このようなご縁の中で、実現したものです。企画は「伝統工芸、日本の美意識が表現されたプロダクトで、コンセプトルームを提案できないか」といったお話をいただきスタートしました。
 墨田区のものづくりに注目した理由を木下は、こう語ります。「輪島市なら輪島塗というように、一般的に伝統工芸はひとつの産業が街に集積していることがほとんどです。墨田区の場合は非常に特殊で、さまざまな産業、ものづくりが息づいています。コンセプトルームをつくるといった場合に、面白いものができるのではないか、と考えたのが墨田区に注目した第一の理由です。さらに墨田区のものづくりを調べていくと、遊び心と匠の技が解け合った商品が多く、私たち自身が魅了されたというのが第二の理由です。墨田区のものづくりをもっと多くの方に知っていただきたい、さらに職人の街を散策する楽しみも紹介して、もっと墨田区を知って欲しいという思いで、今回のプランを企画いたしました」。
 プランは「めでた尽くし」か「江戸切子」のどちらかを選べるようになっていますが、ホテルという非日常空間の中で商品を手にした時に、作り手の顔や、モノが生まれた街が透けて見えてくること、そして街へ出かけたてみたいといった気持ちになっていただけるようにと構成しています。たとえば、本来は墨田区でしか飲めない「東京スカイツリー®カクテル」も、墨田区バーテンダー協会のご協力により、港区にて宿泊者へ特別に提供します。編集部が今回のプランのために特別に制作したリーフレット「ものづくり、ものがたり」には、商品の説明だけでなく、墨田区の取り組みである「小さな博物館」や「東京スカイツリー®カクテル」が飲める墨田区のお店を紹介する公式サイトへ誘導する仕掛けをつけています。ALEXCIOUSご協力のもと、期間限定で「めでた尽くし」を世界へ販売するという試みは、墨田区のものづくりを世界へ紹介するための仕掛け。英語圏のお客さまも、特製リーフレット「ものづくり、ものがたり」から、ALEXCIOUSさまのサイトへ飛び、お買い物できる仕掛けになっています。
最後に「日本はもとより、世界の方にも墨田のものづくり、日本のものづくりを知っていただく機会になればと願っております」と、今回のプランへの思いを結びました。

アレックスの、
プロジェクト参加への思い

 次にALEXCIOUSを運営するアレックス株式会社プロジェクトマネージャー、根來千馨氏よりご挨拶がありました。
 アレックス株式会社は、日本の優れたアイデアやコンセプト、デザイン、技術、製品、文化や生活習慣を積極的に世界に発信し、多くの人にその価値を享受していただくためのプラットフォームの構築・運営を行っています。現在、2つのオフィシャルサイトを運営しており、ひとつはオンラインコマースサイト「ALEXCIOUS」、もうひとつは、9月24日(月)に正式リリースした世界にチャレンジする日本人と、その実現をサポートする人とを繋ぐクラウドファンディングサイト「COUNTDOWN」。ともに、日本市場を足掛かりとして海外へ進出するというものではなく、最初から世界を市場として捉え挑戦することをポリシーとして運営しているそうです。
 「ALEXCIOUS」では伝統工芸技術を生かしつつ、新たなアイデアやデザインによって、現代の生活を豊かにするテーブルウェアやインテリア、小物を中心に、独特のアイデアから生み出されるおもちゃやガジェット、また音楽や美術作品など、多数の製品を、英語で紹介しています。サイトオープンから1年2ヶ月が経ち、現在200を超える国と地域からのアクセス、30ヶ国以上の人々からの購買実績があるそうです。特にアメリカやカナダ、ロシア、オーストラリア、アジアでは台湾や香港から多数の購入があり、アクセス数ではインドネシアから非常に高い人気があるとのことです。
 今回のプロジェクトについて根來氏は、参加の意義を次のように語りました。「日本を世界へ発信するという同じ志を持つ者として、この企画に関わらせていただくことになりましたが、日本人さえ十分に理解しきれていない日本の価値を、世界へ発信するということは、非常に大きなエネルギーが必要だと感じております。そんな中で、日々オフラインで国内外のお客様におもてなしをされているパークホテル東京様、また、国内において職人の方々や技術、製品に関する情報発信・物販をされているニッポンのワザドットコム様、実際にものづくりをされている墨田区の職人の方々、そして世界への窓口となるALEXCIOUSが、それぞれの強みをもって協力していくということに、個々では実現できない、大きな可能性を感じております。またALEXCIOUSの運営方針として「文化」や「生活習慣」を発信していくにあたり、地域やコミュニティを軸とした情報の発信は、今後より力を入れていきたいところで、今回の企画への参加が、それに向けた新たな一歩になると考えております」。日本人が持つ「生活を豊かに、快適にする力」が、世界の多くの方に届くよう努力していきたいと、結ばれました。

参加事業者の
プランへの期待

 そして、『めでた尽くし』にパッケージされている各商品の事業者であるお三方が、今回のステイプランへの期待をお話しくださいました。
まずはじめは、「北斎揚げ『塩』」の製造元、墨田区で創業102年を迎える老舗、株式会社東あられ本舗会長の小林俊介氏。小林氏は、すみだ地域ブランド推進協議会理事会の理事としても墨田区の振興にご尽力されています。
 「ご存じのように墨田区、両国は江戸時代から勧進相撲で大変賑わった街です。明治、大正は日本の発展を支えるものづくりの街として、たくさんの町工場がありました。関東大震災、戦災と二度にわたり灰燼と化すも立ち直り、戦後の復興を支えてきました。しかし高度成長期以降は、自から情報発信をすることができず、少しずつ墨田区のものづくりは衰退していきました。そこで、少しでも外に対して発信出来ないかと立ち上げたのが、『すみだブランド』でした」。そして今年、東京スカイツリー®の開業で墨田区が注目を集める中、「もっと皆さんが情報発信出来ないかと手探りをしているときに、この企画の話をいただきました」。墨田区は東京スカイツリー®を契機に大きく変わろうとしており、今後も今回のような企画に参加して情報発信をしていきたい、と語られました。
 続いて、墨田区向島で創業66年目を迎えた株式会社片岡屏風店代表取締役、片岡恭一氏。今回のステイプランについて、「めでた尽くし」は「食べるもの、飾るもの、使うものとバランスが取れたパッケージ」、「江戸切子プランは、飾ってもいいし、もちろん実用的でもあるパッケージ」と述べられ、今後、市場の反応に期待を抱いているとお話しされました。
 最後は、今年で創業120年目を迎えた玉の肌石鹸株式会社営業部の田口大輔氏。玉の肌石鹸は、「日本人の肌に合う」をテーマに石鹸と化粧品をつくっている会社です。田口氏によると「めでた尽くし」のプランに採用している鯛石鹸は「より感度の高いお客さまにアピールしていきたい」との考えから生まれたものだそうです。「当時のギフト市場では石鹸の詰め合わせがほとんど。贈り手から心が伝わり贈り手も楽しめる、日本人のおもてなしの心が伝わるようなものをと鯛石鹸はつくられました。お目出度い席で食べられる『鯛』を、お目出度い席で使われるお菓子の落雁の型でつくろうと」。また、パークホテル東京に感度の高い外国のお客さまが宿泊することに触れ、「感度の高い人からのSNSの発信は拡散しやすいので、墨田区のものづくりを発信していただけるきっかけになれば嬉しい」と期待を語られました。

トークセッションで
それぞれの思いを語る

 記者会見後半では、「今後のホテル空間に期待されるもの」というテーマの投げかけが司会の内田氏からあり、まず水野氏が発言されました。
 水野氏は日本の「もてなし」という言葉は「もったいない」と同様に世界語になりつつあるが、「もてなし」は西欧の高級ホテルで得られる「サービス」とは本質的に違う、とおっしゃいます。「それは人と人との気持ちがつながるという意味で、高度なもの。墨田区のすぐれた産品を選んでいて一番感じるのは、職人さんの存在、顔。ものの裏に顔が見えるということです。(食事も同じことで)料理の向こうに料理人の顔、存在が見えて美味しさが増すもの。宿泊を体験した際にご一緒したバーテンダーの方もその世界で名前が売れている方ですが、会話の楽しさとかが、ものの良さを引き立てている。これを体験出来る場所が優れた場所だと言える。ものの影にも、料理の裏にも人の存在が見えるということ。これが先ほどから出ている『おもてなし』と『めでたし』を両方実現していると感じました」。
 片岡氏は「ホテルに入った時の空気感も『おもてなし』の一つだと思います。そこに和の空間があるとホッとするもの。(屏風は)そんな雰囲気を醸し出すものだと思います。日本のものには海外の方の方が興味を持っていたり、よく知っていたりします。ですから、偽物ではなく本物を飾ることで(空気感も)グレードもアップするし、ホテルの質感もグレードアップすると思う」と語られました。
次に内田氏からの「今後各部屋に調度品として、職人のものを置くという展開もあるか?」という質問に対し次のように林氏が語られました。
 「最初日本のホテルはヨーロッパを模し、近年はアメリカのデザインを模しました。しかし最近では海外のホテルが、逆に日本の障子を採り入れたりするという逆転が起きています。(パークホテル東京では)建築をフランス人と行いましたが、実は次のテーマは日本だと感じています。先日アートフェアに出かけたとき、これはホテルの壁にも使えるなとか、駿河竹千筋細工のライトは部屋の照明にいいなと、一つ一つに納得できるものがあった。外国人がつくる日本より、日本人がつくる日本の方がまさに本物の世界へ踏み込んで行けるのではないかという印象を持っています。来年はぜひ日本をクローズアップした部屋を二つくらい作り、その後徐々に増やしていきたいと思っています。屏風についても、ご協力いただけるのであれば、一緒に楽しみながら作っていきたいと思います」。
 根來氏へは、「ウェブで日本のものづくりを海外へ発信する立場として、今後どういう発信をしていきたいか」という質問が投げかけられました。それに答えて根來氏は「現在もALEXCIOUSは、ものを売っているだけの位置づけではなく、職人さんの顔やプロフィール、企業やプランドの歴史、地域に地場産業が根付いた理由などをまとめて発信するサイトとして運営をしています。まだまだ試行錯誤中ですが、今後は地域をまるごと地域軸で紹介して、商品だけでなく文化とともに発信していきたい」と語られました。
 最後に、「職人という生き方を国内で発信する、ニッポンのワザドットコムの今後」についての問いに木下が次のように答えました。
 「私自身、鹿児島出身ということで地方で育ちましたが、職人を間近に見たという記憶がほとんどありません。おそらく今の子どもたちは、私よりもそういう状況。ニッポンのワザドットコムでは、月一回の記事アップを目標にしていますが、毎回取材に行って感動するのは、もの=プロダクトの素晴らしさもすごいが、職人がストイックにごまかしをせずにものづくりしていること。そして必ずどの方も、まだ満足できるものを作っていないとおっしゃること。そういう話を聞いて心が洗われるのですが、私たちも取材を通じてこういう生き方もあったのだ、と知ることが出来ました。日本のものづくりを支えてきた職人のこういう生き方がもっと多くの人に伝われば、日本のものづくり、文化、アイデンティティも滅びないのではないかと考えています。また、そんなものづくりを軸に日本経済は発展していけばいいと考えています。(ブレインカフェは)小さな会社なので一気には行けませんが、止めないことを大切に続けていきたいと思っています」。

記者会見を終えて、
伝えることの大切さ

 世界に誇れる、ものづくりの技術を持ちながらも、日本人はことさらにそれを自慢することをしてこなかったように思います。奥ゆかしさは日本人の美徳でもありますが、やはり発信していかなければ、丹精した「もの」は手にとってもらえないし、使ってもらえません。今回の記者会見は、編集部にとっても初めての試みで不安もたくさんありました。しかし振り返ってみるとステイプランに関わった皆様それぞれが、情熱を持って事業に取り組んでいらっしゃることを私たち自身が再認識することとなりました。インターネットサイト上での発信、リアルなイベントを通しての発信に加え、このようなスタイルの発信は今後、積極的に行っていくべきだと思います。改めて皆様の思い、情熱に敬意を表するとともに、編集部も一歩一歩、誠実に歩みを進めていかなければならないと感じています。今後ともどうぞ宜しくお願いいたします。