織物職人

 どんな仕事?

何千本といわれる糸を交錯し、平面状に仕上げる繊細美

絹や綿、麻などの糸をタテとヨコに組み合わせて仕上げる織物。ひと口に織物といっても、着物地から、ネクタイ、インテリア製品まで多様です。何種類もの織り方の技法がありますが、基礎となるのはタテ糸・ヨコ糸2本ずつで構成されるシンプルな平織(ひらおり)、タテ糸・ヨコ糸3本以上で斜線のようにあらわす斜文織(しゃもんおり)、タテ糸・ヨコ糸5本以上で美しい光沢をだす朱子織(しゅすおり)の三原組織。何千本といわれる糸を使用するため、熟練した職人でも、丸帯(舞妓さんの帯として有名)を織るのに最低3ヶ月はかかります。また、先染め・後染めといった染色工程で、思い通りの色を出す色彩感覚が重要。他にも、美しさだけでなく、絹のやらわかい肌触りや、孫にまで受け継げる丈夫さなど、織物の質にもこだわりを持つのが織物職人です。

 こんな人に目指してほしい

着物に宿る日本美をつくりだすために、妥協しない日本伝統の織物には、一組一組が織り成す繊細な美しさが息づいています。その魅力に誘われて織物職人になる人も多くいますが、お世話になった方のために着物を織りたいという「つるの恩返し」のような気持ちで志す人もいます。織物づくりは、着物姿のイメージから始まるので、豊かな創造性を磨かなければなりません。どんな織物にするのか、設計図と段取りを決めます。そこに、妥協しない自分がいるかが、ポイントになります。また、織機の仕組みや微妙に変化する湿度・温度についても学ぶ必要があるので、10年以上の修行に耐えられる覚悟が大切です。

 織物職人への道

まずは各地にある織物を見学。
技法を教えてくれる学校もある

資格や免許は特に入りません。織物を学べる専門学校もありますが、東北から沖縄県という各地に伝わる織物技法を、自分の好みに合わせて現地で勉強することをおすすめします。中には、博多織の「博多織デベロップメントカレッジ」のように、伝統工芸士から2年間みっちりと学べる専門校も存在します。こうした講座から、織物の会社に就職できる可能性も。まずは、どんな織物をつくりたいのかを、各地の製品などを見て決めることから始めましょう。

この職人がつくるモノ・コト 着物地、金襴、裂地、緞帳、帯、小物、ネクタイ、ドレス生地、インテリア製品
このワザに関わる資格 染色技能士
こんな職業も見てみよう 爪織つづれ職人 法衣金襴織物師