木地師(漆器)

 どんな仕事?

木の性質を見極め、多彩な漆器の形をつくる

分業制で生産される漆器の工程の内、初期段階である木の加工を担う職人です。ろくろ挽き、曲げ、削りなどのワザを用いて、椀(わん)や鉢(はち)といった丸物を始め、重箱、茶道具、家具と多種多様な漆器の木地をつくります。原料となる木は、欅(けやき)、栃(とちのき)、朴(ほお)、檜(ひのき)、椹(さわら)など。堅さ、木目、色と、木によって異なる性質を見極め、材に合った乾燥や加工をしなければなりません。そのため、長い時を経て磨き上げたワザが重要です。また、木地師は、使用する鉋(かんな)などの道具を非常に大切にしています。中には、自分で道具をつくる職人もおり、「道具づくりに3年以上」といわれるほど。道具、材、加工技術のすべてにこだわることで、次の工程を担う塗師もワザを発揮しやすくなるのです。

 こんな人に目指してほしい

木、人を思いワザを磨く。信頼関係あっての木地づくり

原木の見極めが重要となるため、普段から木と触れ合うことが大好きな人におすすめです。また、木地師は、漆器を使う人だけでなく、製造に携わる塗師、蒔絵師、沈金師などの職人との信頼関係が大切。どうしたら使いやすいか、どうしたら塗師が塗りやすいかと、他人への思いやりが込められた木地をつくることが必要です。さらに、職人同士が切磋琢磨する漆器づくりは、思いも寄らない漆器の完成した姿に魅了される楽しみも。木地師には、ワザ、仲間、木の魅力がたっぷりと凝縮されています。

 木地師(漆器)への道

工芸系の学校で知識を学ぶ
各地の生産地で就職も

山中漆器で有名な石川県に専門の研修所があるほか、沖縄県から岩手県の工芸系の学校で基本的な知識を学ぶことができます。その後、漆器製造会社への就職や木地師への弟子入りで第一歩を踏み出せます。一通りの仕事ができるようになるには10年といわれていますので、根気強く修行を重ねましょう。

この職人がつくるモノ・コト 什器、装飾品、家具、椀、鉢、皿、盆、重箱、茶托、茶道具、花器
このワザに関わる資格 漆器製造技能士
こんな職業も見てみよう 研ぎ職人 沈金師 蒔絵師 呂色(蝋色)師 ろくろ職人 塗師