瓦葺き職人

 どんな仕事?

反りの曲線美が生みだす瓦屋根の深い味わい

日本建築の屋根を、瓦で葺く(ふく/屋根をおおうこと)職人です。焼くことでつくられる瓦は、一枚一枚、微妙に異なります。その瓦を、反りなどの緩やかなカーブを描く屋根にぴったりと葺くので、熟練した技が重要です。瓦葺き職人が生みだした曲線は、時と共に味わい深くなる瓦と相まって、いつまでも美しいまま。建物の正面から、側面からも、見る者を楽しませてくれます。伝統的な日本の屋根瓦には、本葺き瓦(ほんぶきかわら/平瓦と丸瓦を交互に葺く)と本葺き一体瓦(ほんぶきいったいかわら/平瓦と丸瓦を一体にして軽量化した瓦を葺く)、江戸時代に考案されたといわれている桟瓦(さんがわら)の3種類があります。歴史的な建築では前2者が多く見られ、後者は一般的な日本家屋で採用。3つとも和瓦と呼ばれ、日本建築の美を引き立てています。

 こんな人に目指してほしい

建物と自然の調和を考え、美しいカーブを描く

瓦に興味がある人はもちろん、高いところが好きな人、飛鳥時代から続く伝統の技術を受け継ぎたい人におすすめです。瓦葺きで大切なのが、反りの美しさ、全体の収まりの良さ。背後にある自然との調和を考え、瓦を一枚一枚、計算して収めなければなりません。また、瓦のズレや割れなどの補修も重要な仕事。瓦屋根の完成後も、見守る必要があります。瓦葺きの作業は、屋根の上という危険な場所で行われます。細心の注意を払って技を磨きましょう。現在、瓦には和瓦のほか、F形瓦やS形瓦などの洋瓦が普及しているので、そうした新しい知識も積極的に取り入れていくことも大切です。

 瓦葺き職人への道

瓦葺き専門の会社もあり。
10年以上の修行の後に一人前に

中学・高校卒業後は、建築系もしくは瓦専門の学校や職業訓練校で基本的な技術を身につけることができます。また、瓦葺き職人への弟子入りや瓦葺きを行っている建築会社・工務店への就職で現場経験を積みましょう。瓦の素材、屋根の形状などを総合的に判断する必要があるため、一人前になるのに最低10年かかるといわれています(歴史的な日本建築物を手掛けるには、それ以上)。先輩達のアドバイスを柔軟に受け止め、コツコツと努力を重ねましょう。

この職人がつくるモノ・コト 瓦屋根
このワザに関わる資格 かわらぶき技能士、瓦屋根工事技士
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